ルピナスは、そのユニークな姿で多くの人を魅了する花です。
まっすぐと空に向かって伸びる円錐形の花穂は、鮮やかな色彩を放ち、見る者を惹きつけてやみません。
ルピナスを育てる際、嬉しいポイントの一つが、病害虫の心配がほとんどないことです。
また、肥料もあまり必要としないため、手間がかからないのも魅力です。水やりの加減さえ気をつければ、ガーデニング初心者の方でも気軽にチャレンジできるでしょう。
でも、「ルピナスを植えっぱなしにしておいても大丈夫かな?」と不安に思う方もいるかもしれませんね。
そこで、この記事では、ルピナスの植えっぱなし管理法について詳しく解説します。
花後の手入れ方法や、種の取り方、夏越しの対策など、ルピナスを健康的に育てるためのポイントを丁寧に説明しますので、ぜひ参考にしてください。
ルピナスは植えっぱなしで問題なし!
ルピナスは、マメ科に属する植物の中でも、特に移植に弱いことで知られています。
一度植え付けたルピナスは、植えっぱなしにしておくことで、より長く美しい花を楽しむことができるのです。
鉢植えでも地植えでも、植え替えは避けるのが賢明でしょう。
では、なぜルピナスが移植に弱いのでしょうか?
その理由は、主に二つあります。
根っこが傷つくと根付かない
まず一つ目の理由は、ルピナスがマメ科の植物であることに関係しています。
マメ科の植物の多くは、『直根性』という性質を持っています。
これは、根っこが真っすぐに深く伸びる特徴のことを指します。
ルピナスを掘り返す際に、太くて長い根っこ(主根)が傷ついてしまうと、植え替えても根付かずに枯れてしまう可能性が高いのです。
根粒菌と共生しているから
二つ目の理由は、マメ科植物と根粒菌の共生関係に関連しています。
ルピナスの根っこには、根粒菌が付着して共生しているのです。
この根粒菌のおかげで、ルピナスは生育に必要な窒素を得ることができます。
しかし、移植によって根粒菌がなくなってしまうと、ルピナスの生育に悪影響が出てしまうのです。
以上の理由から、ルピナスは移植に弱い植物だと言えます。
一度植え付けたルピナスは、植えっぱなしにすることで、健康的に育てることができるでしょう。
ルピナスの美しさを存分に楽しむためには、移植を避け、適切な場所で大切に育てることが重要なのです。
ルピナスの花が終わったらどうすればいいの?
ルピナスの美しい花が咲き終わった後、どのようなお手入れが必要でしょうか?
主に、剪定、夏越し、種取りや種まきの作業があります。
ルピナスの花が完全に終わった後は、夏越しができるかどうかが重要なポイントになります。
暖かい地域では、夏越しが難しいことがあり、その場合はルピナスを一年草として扱うことになります。
もし夏越しできずに枯れてしまった場合は、秋口に種をまいて育てるか、翌年の3月に新しい苗を植えて育て始めることになります。
ルピナスの花が全体的に咲き終わったら、花茎の付け根で切り取るのがよいでしょう。
切り口の脇から新しい芽が伸びてくることで、二番花を楽しむことができます。
一番花を切り取らなくても、脇芽が伸びてくることはありますが、大きく開花できないこともあるため、一番花が枯れ始めたら花茎ごと切り取るのがおすすめです。
もし種取りを考えているなら、二番花を残しておくのが賢明です。
二番花が咲き終わった後、花がらをそのままにしておき、種ができるのを待ちましょう。
ルピナスの花後の管理は、夏越しの可否や種取りの予定によって異なります。
適切な剪定と管理を行うことで、ルピナスの美しさを長く楽しむことができるでしょう。
ルピナスの種取り
色とりどりの花を咲かせるルピナスを、種から育ててみませんか?
ルピナスの種を取るには、まず、花茎をそのままにしておきます。
するとやがて、花がらに『さや』ができてきます。
ルピナスはマメ科の植物なので、種もさやえんどうのような袋の中にできるのです。
鞘(サヤ)が完全に茶色く枯れてきたら、茎ごと切り取って、鞘を収穫します。
収穫が遅れてしまうと、鞘が弾けて、中の種が地面にこぼれてしまうので注意が必要です。
乾燥しているサヤは、爪を入れれば簡単にパンと弾けるので、中の種も取り出しやすいでしょう。
種を取り出したら
取り出した種は、風通しの良い日陰でよく乾燥させます。
乾燥したら、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて、種まきの時期まで保管します。
種まきをする時期
ルピナスの種まき時期は、一年草タイプなら9月、寒冷地で多年草タイプを育てるなら6月頃(初夏)が適しています。
これは、ルピナスにとって最適な発芽気温が20℃前後であることと関係しています。
多年生タイプを秋に蒔くと、開花が翌々年になることもあるので注意しましょう。
種まき
ルピナスの種は非常に固く、発芽しづらいため、まず一晩水に浸けて柔らかくします(吸水処理)。
また、ルピナスの種は光を嫌う性質(嫌光性)があるため、日光に当たると発芽しない確率が高くなります。
土に埋める際は、種の2-3倍の深さの穴を掘って埋めるようにしましょう。
日陰でたっぷりと水をやって放っておけば、数日で発芽してくるはずです。
ルピナスの種取りと種まきには、少しコツがいりますが、正しい方法で行えば、美しい花を咲かせるルピナスを育てることができます。
自分で育てたルピナスが咲く姿を想像しながら、楽しみに種まきに取り組んでみてください。
こぼれ種で増えることも
ルピナスの種は、非常に硬くて丈夫なため、こぼれ種から発芽することがあるのをご存知でしょうか?
ルピナスの種は光を嫌うため、日光に当たると発芽しにくいと思われがちですが、自然の力によって発芽することがあるのです。
雨や風などの自然の影響で、こぼれ種が土に埋もれたりすることがあります。
また、雑草などの陰に隠れて、日光に当たらずに済む場合もあるのです。
ルピナスの種が発芽するには、水、温度、酸素の3つの条件が十分に揃っていることが重要です。
これらの条件が整えば、こぼれ種からでもルピナスが育つ可能性があります。
こぼれ種からルピナスを育てる方法として、プランターに種をこぼれさせ、発芽した苗を間引きながら育てるというやり方もあります。
ルピナスの種は、その丈夫さゆえに、意図せずとも新しい命を生み出すことがあるのです。
自然の力を借りて、こぼれ種から美しいルピナスが育つ姿を見るのも、園芸の楽しみの一つかもしれません。
ルピナスの生命力の強さを感じながら、その成長を見守ってみてはいかがでしょうか。
ルピナスをうまく育てるポイント
水やりのしかた
水やりについては、ルピナスが水切れと過湿を嫌うことを念頭に置く必要があります。
開花中は、花に水がかからないように注意しましょう。
鉢植えの場合は
鉢植えの場合は、土の表面がしっかりと乾いたことを確認してから、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをします。
水切れすると葉が黒くしわしわになって枯れてしまうので注意が必要です。
一方、水やりをしすぎると根腐れを起こすこともあるため、こまめな水やりではなく、土が乾いたタイミングで行うのがよいでしょう。
地植えの場合は
地植えの場合は、根付くまでは毎日水やりをし、根がしっかりと張ってからは雨任せにします。
肥料の与え方
次に、肥料についてですが、ルピナスはマメ科の植物であるため、根から土中の栄養を吸い上げる力が強く、あまり肥料を必要としません。
肥料をあげすぎると、根が肥料焼けしてしまうことがあるため、控えめにするのが賢明です。
基本的に追肥は必要ありませんが、株を大きくしたい場合などは、鉢植えの場合は植え付け時に緩効性肥料を元肥として与え、春になったら月2回ほど液肥を追肥として与えます。
市販の培養土を使う場合は、すでに肥料が含まれていることが多いので、元肥は不要です。
地植えの場合は、植え付け時に緩効性肥料を元肥として与え、春の生育前に追肥として緩効性肥料を与えます。
剪定と切り戻し
剪定・切り戻しについては、ルピナスの花が咲ききってからそのままにしておくと、種を作り始めてしまいます。
種を作るのにエネルギーを使ってしまうと、次の花が咲かなくなるため、長く花を楽しみたい場合は、咲き終わった花穂の根元でカットすることが大切です。
切ったところから脇芽が出て、2番花・3番花を咲かせてくれるのです。
また、黄色くなった葉などもこまめに取り除くことで、株の蒸れを防ぐことができます。
夏越し
ルピナスは、気温25℃で生育が止まり、30℃を超えると枯れてしまうため、夏越しには注意が必要です。
ラッセル・ルピナスなどの品種は多年草とされていますが、日本の温暖地では夏越しができず、一年草として扱われることが多いのです。
冬越し
冬越しについては、ルピナスは冬場に適度な寒さにあてることで、春に開花しやすくなります。
鉢植えの場合は、10℃以下の場所に置くようにしましょう。
ただし、土が凍ると枯れてしまうので、寒冷地では株元を腐葉土や敷き藁で覆うなどの凍結対策が必要です。
病害・虫害
ルピナスは病害虫の心配がほとんどありません。
ただし、じめじめとした湿気の多い環境では、根腐れや立枯病を起こす可能性があるため、水やりの頻度や土壌の水はけには注意が必要です。
以上のようなポイントを押さえながら、ルピナスを大切に育てることで、その美しい花を存分に楽しむことができるでしょう。
ルピナスの生育特性を理解し、適切なお手入れを行うことが、健康的なルピナスを育てる秘訣なのです。
まとめ
ルピナスは、一度植え付けたら、できるだけそのまま育てるのが理想的です。
植え替えや移植は、ルピナスにとってストレスとなる可能性があるからです。
ルピナスを植えっぱなしにしておくことで、毎年美しい花を咲かせる姿を楽しむことができます。
植え替えや移植をせずに、同じ場所で大切に育てることが、ルピナスにとって最も適した方法なのです
。
ただし、どうしても植え替えや移植が必要な場合は、細心の注意を払って行う必要があります。
特に、ルピナスの根っこを傷つけないように気をつけることが大切です。
根っこが傷つくと、ルピナスの生育に大きな影響を与えてしまうかもしれません。
ルピナスの美しさを長く楽しむためには、植えっぱなしで育てることがおすすめです。
ルピナスの特性を理解し、できるだけ植え替えや移植を避けることで、健康的に育てることができるでしょう。
ルピナスの美しい花を毎年楽しみながら、大切に育ててみてはいかがでしょうか。