グレコマの魅力的な緑の絨毯と香りに惹かれながらも、制御不能な繁殖力に頭を悩ませる人も少なくありません。
「庭に植えてはいけない」という噂が囁かれるほどに、グレコマの生命力は旺盛なのです。
しかし、そんなグレコマにも、適切な管理を施せば、私たちの庭を美しく彩ってくれる可能性が秘められています。
手頃な価格でありながら、地面を覆い尽くすグランドカバーとしての役割を見事に果たしてくれるのがグレコマの魅力なのです。
本記事では、グレコマを庭に植えてはいけない4つの理由と、うまく繁殖力をコントロールしながら栽培するためのポイントを解説します。
結論から先にお話しすると、グレコマはうまくお手入れすれば植えてはいけない植物ではありませんのでご安心くださいね。
グレコマと上手に付き合うための知恵を、ぜひ一緒に学んでいきましょう。
なぜ庭にグレコマを植えてはいけないの?
グレコマ、その美しい姿に魅了される一方で、植えることをためらう理由が4つあると言われています。
・驚異的な繫殖力で雑草化
・先祖返りを起こすと緑葉に
・葉焼けを起こす
・植えっぱなしだと枯れることも
驚異的な繁殖力で雑草化
グレコマは「垣通し(カキドオシ)」という和名からもわかるように、生け垣をも突き抜けるほどの生命力を持っています。
庭の中だけでなく、隣家までも侵食してしまう可能性があるのです。
また、その強靭な成長力は他の植物の成長を妨げてしまうことも。
時には「雑草」と呼ばれることすらあるほどです。
先祖返りを起こすと緑葉に
グレコマを庭に植えてはいけない2つ目の理由は、「先祖返り」という現象です。
品種改良された班入りのグレコマは、時間とともに元の緑単色の姿に戻ってしまうことがあるのです。
その結果、せっかくの美しい模様が失われてしまうだけでなく、繁殖力がさらに増してしまうというリスクも。
葉焼けを起こす
そして3つ目は、真夏の強い日差しによる葉焼けの問題です。
グレコマは直射日光に弱く、乾燥や太陽光線によって葉が傷んでしまうことがあります。
特に西日が当たるような場所では、その美しさを保つのが難しいようです。
このように、グレコマにはその魅力とともに、植えることへの懸念点もあるのです。
植えっぱなしだと枯れることも
グレコマを育てる上での懸念点として、枯れてしまう可能性があるということが挙げられます。
グレコマは常緑多年草として知られていますが、長年お庭に植えっぱなしにしていると、株元から枯れ込んでくることがあるのです。
これは、株が茂りすぎたり、無数のランナーで広がったりすることで起こる生育不良の一種なのだとか。
数年に一度は、植え替えによる対処が必要だと言われています。
また、グレコマは耐寒性が強く、戸外での冬越しも容易な植物ですが、強い霜に見舞われると枯れてしまうこともあります。
ただし、霜で地上部が枯れても、翌年には新しい芽を出すので、植えたままでも問題はないそうです。
さらに、高温多湿な環境では、株が蒸れて枯れ込むこともあるのだとか。
このように、グレコマにはその美しさとともに、枯れてしまうリスクもあるのです。
グレコマの特性をよく理解し、上手に付き合っていくことが大切ですね。
グレコマの繁殖力を抑えてうまく育てるポイント
グレコマの魅力を存分に楽しむためには、その旺盛な繁殖力とうまく付き合っていくことが大切です。
そのためのコツが2つあると言われています。
・切り戻し
・地植えしない
切り戻し
1つ目は、こまめな「切り戻し」です。
グレコマは、ランナー(蔓)を伸ばしながら成長していきます。
このランナーが地面に触れると、そこから新しい株が生まれてしまうのです。
そこで、開花期である4~5月が過ぎたら、思い切ってランナーを切り戻すことが重要なのです。
グレコマの生命力は非常に強いので、多少切りすぎても問題ありません。
この切り戻しには、先祖返りを防ぎ、株元の蒸れを防ぐ効果もあるのだとか。
地植えしない
2つ目のコツは、地植えしないことです。
地植えや通常の鉢植えでは、ランナーが地面に触れてしまい、自然と増えていってしまいます。
そこでバスケットを使った栽培がおすすめ。
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このようなハンギングバスケットなら、壁や柱から吊り下げることで、ランナーが地面に触れることを完全に防げるのです。
また、夏の強い日差しを避けたり、移動させたりするのも簡単です。
グレコマの美しさを楽しみつつ、その繁殖力をコントロールするには、こまめな切り戻しとハンギングバスケットでの栽培が効果的なのですね。
グレコマならではの魅力を、上手に引き出していきましょう。
グレコマを庭に植えるメリットも!
上記の通り、グレコマはその美しさの反面増えすぎるとお手入れが大変な部分はあります。
でも、グレコマを庭に植えることにはいくつかのメリットもあると言われています。
ガーデニング初心者にも育てやすい
まず1つ目は、初心者でも育てやすいという点です。
グレコマは、夏の直射日光と乾燥に弱い点を除けば、耐寒性と耐暑性に優れた日本の環境に適した常緑多年草なのです。
霜が降りると地上部は枯れてしまいますが、根っこはマイナス10℃の寒さにも耐えられるほどの強さを持っています。
また、病害虫の被害も少ないため、園芸初心者でも安心して育てられるでしょう。
さらに、冬場には葉が赤黒く変化し、季節の移ろいを感じられるのも魅力の一つです。
花が可愛らしい
グレコマは春になると青紫色の小さな花を咲かせます。
日当たりがよいほど咲きやすく、その可憐な様子はとても癒されます。
一年中葉の瑞々しさを楽しめる上、春には花も楽しめるのは素敵ですね。
増えすぎても除去が比較的簡単
2つ目のメリットは、不要になった際の除去が比較的簡単だという点です。
グレコマは、引っ張ると容易に抜けるため、不要になったら簡単に取り除くことができるのです。
他の多くの植物では、根を強く張ったり、地下茎が残ったりして完全除去が難しいことがありますが、グレコマにはそのような心配がありません。
一度植えたら後悔するほどの頑固さがないのは、安心材料と言えるでしょう。
このように、グレコマには育てやすさと除去のしやすさという、初心者にも優しい特徴があるのです。
その美しさと手軽さで、多くの人を魅了し続けているのですね。
グレコマは庭のグランドカバーには不向き?
上記の通り、グレコマは瑞々しい葉の美しさを楽しめる一方、増えすぎると大変なデメリットもあります。
しかし、初心者でも育てやすく、もし他の植物に植え替えたくなっても除去が簡単なことから、一度グランドカバーに植えてみるのも良いでしょう。
グレコマは冬の寒さにも強く、病害虫にも比較的強いです。
根が深くまで張り込むこともないため、植え替え作業もそれほど難しくありません。
ただし、庭に地植えする場合は定期的にお手入れが必須となります。
植えっぱなしにしておくと、旺盛な繁殖力からどんどん増えてほかの植物に悪影響を与えてしまうこともあるからです。
このため、お手入れの手間を省きたい、それほどこまめに剪定・切り戻しできないという場合は、ほかの植物をグランドカバーにするのがおすすめです。
まとめ
グレコマは葉の美しさと強靭さで多くの人を魅了する植物ですが、植えることをためらう理由がいくつかあると言われています。
その中でも最大の理由は、やはりその驚異的な繁殖力でしょう。
昔の日本人が「カキドオシ」と名付けたように、グレコマは垣根をも越えて伸びていくほどの生命力を持っているのです。
まるで自分の庭だけでは飽き足らず、隣家までも侵食しようとするかのような勢いは、まさにやっかいと言えます。
しかし、こまめな切り戻しなどの管理を行えば、その繁殖力をコントロールすることは可能です。
適切な手入れを怠らなければ、グレコマは冬越しがしやすく、病害虫の被害も少ない、使い勝手の良いグランドカバーとして活躍してくれるでしょう。
除草もしやすいため、庭の手入れに悩む人にとっては心強い味方となるかもしれません。
また、グレコマは他の植物とも合わせやすく、おしゃれな寄植えを作る際にも重宝します。
その美しい葉色と柔らかな質感は、他の植物の魅力を引き立ててくれることでしょう。
ただし、グレコマを育てるのが初めての方は、まずは鉢植えから始めてみることをおすすめします。
地植えよりも管理がしやすく、繁殖力をコントロールしやすいためです。
グレコマとの付き合い方を学びながら、徐々に庭へと広げていくのが賢明かもしれませんね。