赤や黄、オレンジなど、鮮やかな色で楽しませてくれるノウゼンカズラ。
真夏の日差しを受けて、ラッパ型の花を咲かせるのが特徴です。
そんなノウゼンカズラですが、庭に植えてはいけないと言われることも・・。
その最大の理由が、ノウゼンカズラの繁殖力の強さです。
ネット上では、樹勢が強すぎて家の外壁を破壊してしまった・・なんて声も。
ほかにも、毒性など育てる上で気になるデメリットが多数あります。
そこで本記事では、なぜ庭にノウゼンカズラを植えてはいけないのかを詳しく解説します。
庭にノウゼンカズラを植えてはいけない理由とは?
繁殖力が強すぎる
ノウゼンカズラは樹勢が強いのが特徴の植物です。
ノウゼンカズラのツルは非常に旺盛に成長し、庭の他の樹木や建物の壁にも広がります。
これらのツルが樹木に絡みつくと、光を遮ってしまうため、樹木が健康を損ね、最悪の場合、枯れてしまうこともあります。
また、ツルが隣の庭や家の屋根を超えて電信柱や電線にまで伸びることもあり、管理が非常に大変です。
そのため、年に数回の剪定が必要で、手間がかかります。
さらに、ノウゼンカズラは花が終わると、エンドウ豆のような実をつけ、それが割れると多くの小さな種が周囲に散らばります。
こぼれた種は自然に地面に落ち、新しい芽を出すことがあります。
また、地下で地下茎が活発に伸びるため、思いがけない場所に新芽が現れることもあります。
このようにして庭が徐々にノウゼンカズラで覆われてしまい、植えた記憶のない場所からも増え続けるため、庭を管理することが困難になります。
家の外壁をも破壊する
ノウゼンカズラは、その茎や幹から「気根」と呼ばれる根を出し、これが空中を通じて建物の外壁や他の樹木に張り付きます。
普通、植物の根は土の中で成長しますが、ノウゼンカズラの気根は直接外壁に付着する特性を持っています。
これらの気根が外壁にしっかりと付着すると、色々な困った問題が生じます。
外壁に根が定着することで、外壁に跡が残ったり、穴が開いたりします。
さらに、これらの穴から雨水が侵入し、外壁の損傷を進行させることもあります。
気根が一度付着すると、その除去は非常に困難で、除去後も跡が残りがちです。
ノウゼンカズラを長期間壁に這わせた結果、外壁が痛んで塗り替えが必要になる場合もあります。
花の咲く様子は美しいですが、根っこに外壁まで破壊されては困りもの。
植えてから時間が経つにつれて「ノウゼンカズラを植えなければよかった」と後悔することもあります。
駆除が難しい
ノウゼンカズラを一度植えると、完全に駆除することが非常に困難になります。
一度抜いてもまたすぐに芽を出してしまうため、駆除するためには長期的な管理が必要になるでしょう。
地表から出ている株を引き抜いても、すぐには除去できません。
地中に残った地下茎が生き続け、思わぬ場所から新たな芽を出すことがよくあるためです。
地下茎は地表からは見えないため、どれくらい広範囲に広がっているか確認するのが難しいです。
地下茎は庭の隅々まで広がることがあり、さらには塀の向こう側からも新しい芽が出ることがあります。
そのためノウゼンカズラを植えた後には、根絶に向けた長期的な努力が必要となり、終わりの見えない戦いが続くことになります。
毒性がある?
古い文献によるとノウゼンカズラは毒を持っており、触ると失明するとされていますが、これは迷信です。
現代の研究ではノウゼンカズラの毒性はほとんど問題になっておらず、実際のところ毒性は心配するほどではありません。
毒性が怖いからといってノウゼンカズラを植えるのに躊躇する必要はないでしょう。
縁起が悪い?
日本では、古来よりツル植物は家の主の首を締め付けるように見えるので、不吉な象徴とされてきました。
現代でもこのような考えを持つ人は少なくないため、ノウゼンカズラも家の庭に植えるのは縁起が悪いと考える人もいます。
科学の発展した現代ではこのような考え方は迷信であり、心配する必要はないでしょう。
しかし、このような言い伝えを知らずにノウゼンカズラを植えてしまって、家族や近隣とのトラブルの原因になることがあります。
もし家族と同居している場合は、植える前に相談するのが良いでしょう。
ノウゼンカズラをうまく育てるポイント
上記の通り、ノウゼンカズラを育てるには色々とデメリットがあって心配ですね。
しかし、鮮やかな花を咲かせるノウゼンカズラは、サマーガーデンに持ってこい。
育て方に注意すれば、デメリット以上にメリットのある花でもありますよ。
ぜひ以下のポイントに気をつけて育ててみてください。
鉢植えで育てる
ノウゼンカズラは成長が旺盛で、周囲への影響も考慮する必要があるため、地植えではなく鉢植えがおすすめです。
鉢植えなら、成長をうまくコントロールでき、必要なくなったときの撤去も簡単です。
増えすぎる前に剪定する
ノウゼンカズラはあっという間に茎を伸ばし、成長してしまいます。
花は美しいのですが、そのまま放置しているとどんどん繁殖して隣近所の迷惑になってしまうことも。
ノウゼンカズラが庭を占領してしまう前に、剪定しましょう。
強剪定する時期は、冬から春前にかけて。春に剪定すると、花が減ってしまうことがあります。
落葉後なら基本的にどこを切ってもよいですが、太い幹を切った場合は切り口に保護剤を塗布してあげると枯れ込みが防げます。
素手で触らない
ノウゼンカズラは有毒植物に分類されるため、触る際はガーデニング用の手袋を使うなどの注意が必要です。
また、素手で触った後は目をこすらないようにしましょう。
敏感肌の人は、特に花や葉に触れるときには気をつける必要があります。
子供が触れない場所で育てる
小さなお子さんがいる場合や、ペットを飼っていて庭に出ることがある場合、わずかな毒性の植物でもやはり心配になりますよね。
ノウゼンカズラは子供やペットの手の届かない場所に鉢を置いて育てるのがよいでしょう。
ノウゼンカズラを狭い庭で育てるには?
ノウゼンカズラは樹勢が強く、蔓が絡みついてどんどん大きくなってしまいます。
それほど広さのない庭でノウゼンカズラを育てる場合は、ポール仕立てにするのがおすすめです。
目標とする高さまでまっすぐに蔓を伸び上げさせ、同じ位置まで切り戻しましょう。
剪定もしやすくなりますし、四方に枝を垂らすことによって花のつきもよくなります。
日陰ではほとんど花が咲かなくなるため、日当たりの良い場所に置いてあげることも大切です。
まとめ
ノウゼンカズラは、病気や害虫の心配はそれほどありません。
縁起が悪いという迷信や、毒性はそれほど強くないので心配しなくてもよいでしょう。
育てやすい花木ではありますが、繁殖力が強く、こまめに剪定するなどのお手入れが必要ですので、お手入れが手間と感じる方は向かないかもしれませんね。
色鮮やかな花を咲かせるノウゼンカズラですが、赤みの強いマダム・ガレンや、黄色の花を咲かせるアメリカノウゼンカズラなど色々な品種があります。
ぜひお好みの品種を選び、育ててみてくださいね。