秋になると、甘く柔らかな花の香りが漂う金木犀(キンモクセイ)。
わずかな期間しか楽しめない儚い花ですが、この香りがすると秋が来たと感じる方も多いのではないでしょうか。
ただ、「去年は綺麗に咲いていたのに今年は咲かない・・」というお悩みの声もよく耳にします。
そこで本記事では、金木犀の花が咲かない原因について詳しく解説します。
花を咲かせるためにはどのように対処すればよいのかもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
金木犀が開花しないのはなぜ?
強剪定
金木犀は、前年の秋に花芽を形成するという特性があります。
そのため、春先や夏場に強い剪定を行ってしまうと、せっかく形成された花芽まで切り落としてしまう可能性が高くなります。
花芽は枝の先端部分に多く存在するので、強剪定によって花芽ごと失われてしまうと、秋の開花に大きな影響を与えてしまいます。
金木犀の花を咲かせたいという場合は、強剪定は避け、剪定する際は花芽を残すように注意する必要があります。
花芽を落としてしまった
金木犀の花芽は、枝の先端部分に形成されるのが一般的です。
そのため、不注意な剪定や誤って枝を折ってしまったりすると、大切な花芽を落としてしまう可能性があります。
特に、花芽が形成される前年の秋から冬にかけては、枝の先端部分を大切に扱う必要があります。
花芽を落としてしまった場合、その年の開花は望めなくなってしまいます。
繊細な花芽を大切に扱い、落とさないように注意することが開花への第一歩といえるでしょう。
剪定時期ミス
金木犀の剪定は、花後から年内に行うのが理想的とされています。
春から夏にかけて剪定を行ってしまうと、花芽の形成に悪影響を及ぼしてしまいます。
これは、金木犀が前年の秋に花芽を形成するからです。
剪定時期を誤ると、せっかく形成された花芽を切り落としてしまったり、花芽の形成自体を阻害してしまったりします。
結果として開花不良につながるのです。
金木犀の開花を望むなら、剪定時期を守ることはとても大切です。
日照不足
金木犀は日なたを好む植物であり、十分な日照が得られる環境を好みます。
日照不足の環境では、光合成が十分に行えず、樹勢が衰えてしまいます。
すると、花芽の形成が阻害され、開花不良につながってしまいます。
乾燥
金木犀は適度な水分を好む植物です。
土壌が過度に乾燥してしまうと、樹勢が衰えて花芽の形成が悪くなります。
特に、花芽形成期の水分管理は重要で、土壌が乾燥しすぎないように注意が必要です。
ただし、過湿状態も根腐れを引き起こす原因となるので、水のやりすぎにも注意が必要です。
金木犀の健全な生育と開花のためには、適度な水分管理が欠かせません。
肥料不足
金木犀は、花芽形成期から開花期にかけて多くの栄養を必要とします。
肥料不足の状態では、十分な花芽を形成することができません。
花芽形成期の初夏と、開花前の晩夏から初秋にかけての施肥が特に重要です。
根詰まり
鉢植えの金木犀の場合、根が鉢の中で詰まってしまうと、養水分の吸収が悪くなり、開花に影響を与えてしまいます。
もしも根詰まりを放置すると、花芽の形成が阻害され、開花不良の原因となります。
根詰まりの兆候としては、水はけが悪くなる、葉色が悪くなる、生育が鈍化するなどがあります。
根詰まりが疑われる場合は、速やかに鉢増しを行い、根を解放してあげる必要があります。
これに併せて、適切な植え付け土を選ぶことも大切です。
虫害
アブラムシやハダニなどの害虫は、金木犀の新芽や花芽を吸汁して枯らしてしまう厄介者です。
放置すると、花芽が減少し、開花不良の原因となります。
害虫の発生初期に適切な防除を行うことが大切です。
薬剤を用いる場合は、金木犀に適した薬剤を選び、適切なタイミングで散布します。
また、天敵を活用した防除も効果的です。
害虫から金木犀を守ることが、豊かな開花への第一歩となります。
強風
金木犀の花芽は繊細で、強い風によるダメージを受けやすい特徴があります。
強風にさらされると、花芽が吹き飛ばされたり、枝が折れたりして、開花に悪影響を及ぼします。
特に、台風シーズンは要注意です。
気象条件が関係することも
植物の開花には、夏の気候が大きな影響を与えます。
暑さが続くのか、涼しい気温なのかで、花芽の形成が左右されるのです。
北国では、日中は暑くても朝晩の冷え込みが厳しい年もあり、金木犀をはじめ、多くの樹木の花芽形成に影響します。
花芽ができる時期は通常暖かいのですが、
日照不足や低温、長雨などの悪条件が重なると、花芽の数が減ってしまい、花が咲かなくなるのです。
このように、夏の気象条件次第で、花の開花状況は大きく変わります。
幼木は開花しない
金木犀は若木の時期は開花しないのが一般的です。
接ぎ木苗の場合は別ですが、実生苗の場合、開花するようになるまでに数年かかることがあります。
これは、幼木期は栄養成長に力を注ぐためで、開花に必要なエネルギーを蓄積するためです。
幼木期の金木犀に開花を期待しても、がっかりするだけかもしれません。
幼木の場合は、十分な日照と適切な水やり、施肥によって健全な成長を促すことが大切です。
植えてから5年ほど育てると、立派な花を咲かせてくれるはずです。
金木犀の花を咲かせるポイント
金木星は、以下のポイントを押さえることで、健康に育ち、美しい花を咲かせることができます。
金木犀は丈夫な植物なので、基本的な管理さえしっかりと行えば、毎年秋になると甘い香りを放つ花を楽しむことができるでしょう。
剪定
金木犀は前年の秋に花芽を形成するので、剪定のタイミングが重要です。
基本的に、金木犀の選定は花後から年内に剪定を行うのが理想的です。
春から夏に剪定すると、花芽の形成を阻害してしまいます。
剪定の際は、花芽を残すように注意しながら、樹形を整えるような軽い剪定にとどめましょう。
日当たり
金木犀は日当たりを好む植物です。
1日6時間以上の日光が当たる場所で育てるのが理想的です。
ただし、真夏の直射日光は避けた方が無難です。
風通しも大切で、適度な風が当たることで病害虫の発生を抑えることができます。
もしも日照不足が疑われる場合は、適切な場所への移動や周辺の障害物の除去を検討しましょう。
水やりと排水
金木犀は適度な水分を好みます。
土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えるのが基本です。
ただし、水のやりすぎは根腐れの原因になるので注意が必要です。
鉢植えの場合は、排水穴から水が流れ出るまでしっかりと水を与え、余分な水は捨てるようにします。
肥料の与え方
金木犀は肥料を好む植物です。
特に、花芽形成期の初夏と、開花前の晩夏から初秋にかけての施肥が重要です。
有機質肥料や緩効性肥料を用いて、ゆっくりと長く効く施肥を心がけましょう。
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鉢植えの場合は、液体肥料を2週間に1回程度与えるのも効果的です。
害虫対策
金木犀につく主な害虫は、アブラムシとハダニです。
発生初期に見つけたら、速やかに防除を行いましょう。
水で流し落とすのも効果的ですが、必要に応じて殺虫剤を使用します。
ただし、殺虫剤を使う場合は、金木犀に適したものを選び、適切な濃度で散布することが大切です。
強風対策
金木犀への強風対策として、支柱を立てて主幹を固定する、防風ネットを設置するなどの対策が効果的です。
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また、切り戻し剪定によって樹形を低く保つことも、強風に対する耐性を高める方法の一つです。
鉢植えの場合
鉢植えの金木犀は、2~3年に一度、鉢増しが必要です。
根詰まりを放置すると、養水分の吸収が悪くなり、生育不良や開花不良の原因になります。
鉢増しの際は、根を痛めないように注意しながら、適切な大きさの鉢に植え替えましょう。
まとめ
金木犀の花が咲かない原因は、剪定の時期や方法、日照不足、肥料の与えすぎ、花芽形成時の気象条件など、様々な要因が考えられます。
適切な時期に適度な剪定を行い、日当たりの良い場所で育て、肥料は控えめにするのがポイントです。
夏の気象条件は制御できませんが、他の要因は工夫次第で改善することができます。
ガーデニングは植物の成長を身近に感じられる素敵な趣味です。
特に金木犀は、秋の夜長に甘い香りを放つ美しい花を咲かせ、私たちを魅了してくれます。
花が咲かない時は原因を探り、来年への希望を胸に丁寧にケアしましょう。
きっとあなたの愛情に応えて、金木犀は再び見事な花を咲かせてくれるはずです。