紫の小さな花と黒っぽい葉が特徴的な多年草、ビオラ・ラブラドリカ。
黒葉スミレや黒葉ビオラとも呼ばれるこの植物は、低い背丈と這い性の特性を活かし、グランドカバーとしても人気があります。
しかし、一方で「ビオラ・ラブラドリカは庭に植えてはいけない」と言われることもあるのをご存知でしょうか?
結論から言えば、ビオラ・ラブラドリカはお庭に植えても問題ありません。
ただし、お手入れが面倒な人や、虫が苦手な人には注意が必要かもしれません。
今回は、ビオラ・ラブラドリカを植えてはいけない理由と、上手に育てるコツをお伝えします。
庭にビオラ・ラブラドリカを植えてはいけない理由4選
増えすぎる
ビオラ・ラブラドリカは旺盛に成長し、株分けによって容易に増えるため、庭で栽培すると制御が難しくなる可能性があります。
特にこぼれ種からも新しい株が次々と発生するため、思わぬ場所で芽吹くことがあります。
こぼれ種から発生した株は、元の株とは異なる形質を持つ場合もあり(交雑)、庭の景観を損ねる原因となります。
増えすぎたビオラ・ラブラドリカを除去するのは手間がかかる作業となるため、庭へ植える前に慎重に検討する必要があります。
害虫
ビオラ・ラブラドリカはツマグロヒョウモンという蝶の幼虫の食草となります。
ツマグロヒョウモンは、ビオラ属の植物を好んで産卵するため、ビオラ・ラブラドリカを庭で栽培すると、幼虫が多数発生する可能性があります。
幼虫は葉を食べるため、植物の生育に悪影響を及ぼします。
さらに、幼虫の糞や食害によって植物の見た目が悪くなり、庭の美観を損ねます。
ツマグロヒョウモンの幼虫を駆除するためには、手作業で取り除くか、殺虫剤を使用する必要があります。
しかし、殺虫剤の使用は他の庭の生物にも影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
暑さに弱い
ビオラ・ラブラドリカは寒冷地に適応した植物であり、高温多湿な環境には適していません。
夏の暑さや直射日光に弱く、葉が萎れたり、枯れたりすることがあります。
また、高温多湿な環境ではカビや菌の発生リスクが高まります。
日本の多くの地域では、夏の気候がビオラ・ラブラドリカにとって過酷であるため、庭植えには適さない場合があります。
暑さ対策として、日陰で栽培することも考えられますが、日照不足により花つきが悪くなったり、徒長したりする可能性があります。
乾燥に弱い
ビオラ・ラブラドリカは適度な湿り気を好む植物ですが、乾燥にも弱い特性があります。
庭植えの場合、土壌の水分管理が難しく、乾燥ストレスを受けやすくなります。
特に、真夏の乾燥した気候では、頻繁な水やりが必要となり、管理が大変になります。
また、乾燥ストレスを受けた株は病気に感染しやすくなり、回復が困難になる場合があります。
一方で、過度な水やりは根腐れを引き起こす可能性があるため、適切な水分管理が求められます。
庭でビオラ・ラブラドリカを育てるには、水はけが良く、適度な保水力のある土壌を準備する必要があります。
庭でビオラ・ラブラドリカを育てるメリット
こぼれ種で増えるのが厄介なビオラ・ラブラドリカですが、
他にはない上品な花と濃いグリーンの葉はとっても素敵!
花姿が上品で可愛らしい
ビオラ・ラブラドリカの花は、シックで可愛らしい印象を与えます。
青紫色や紫色の小さな花は、控えめながらも存在感があり、庭に上品な雰囲気を醸し出します。
また、花びらの形状や色合いが他の植物とは異なるため、寄せ植えの際にアクセントとして活用できます。
ビオラ・ラブラドリカを他の植物と組み合わせることで、より魅力的で洗練された寄せ植えを作ることができます。
シックで可愛らしい花はガーデニング初心者さんにも扱いやすく、庭づくりを楽しむきっかけになるでしょう。
何年も花を楽しめる多年草
ビオラ・ラブラドリカは多年草であるため、一度植えれば数年にわたって花を楽しむことができます。
毎年種をまく必要がなく、管理が比較的簡単です。
株分けで増やすこともできるので、庭のさまざまな場所に植えて楽しめます。
また、株が成長するにつれて花数が増え、年々豪華な花が咲くようになります。
ビオラ・ラブラドリカは長く楽しめる植物であり、庭の定番としても親しまれています。
冬の寒さに強い
ビオラ・ラブラドリカは耐寒性が高く、冬の寒さにも強い植物です。
冬になっても葉や茎が枯れずに緑を保つため、冬の庭を彩る貴重な存在として重宝されます。
寒い時期でも美しい葉を楽しむことができ、庭に彩りを添えてくれます。
また、花のない時期でもカラーリーフとして観賞価値が高く、シックな色合いの葉が庭を引き締めてくれます。
ビオラ・ラブラドリカは、一年を通して庭を美しく演出してくれる優れた植物といえます。
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庭でビオラ・ラブラドリカをうまく育てるポイント
ビオラ・ラブラドリカは、きちんとお手入れしてあげれば庭に植えてもまったく問題ありません。
他のビオラよりも育てやすく、上品な見た目で寄せ植えのアクセントなどにもぴったり。
ぜひ下記のポイントを参考にビオラ・ラブラドリカを育ててみてください。
花がらを摘んでこぼれ種対策
ビオラ・ラブラドリカは種子繁殖力が旺盛なため、こぼれ種対策が重要です。
花がらをこまめに摘み取ることで、種子の飛散を防ぎ、無秩序な増殖を抑制できます。
花がらは花が枯れた後、種子ができる前に摘み取るのが効果的です。
摘み取った花がらは、種子が熟す前にコンポストや焼却処分するのが望ましいでしょう。
こぼれ種対策を怠ると、思わぬ場所から芽が出て、庭の景観を乱す可能性があります。
花がらの摘み取りは、植物の生長を促進する効果もあるので、こまめに行うことをおすすめします。
防虫シートで害虫対策
ビオラ・ラブラドリカの大敵であるツマグロヒョウモンの幼虫対策には、防虫シートが有効です。
ツマグロヒョウモンが産卵する時期より前に、防虫シートを植物にかぶせることで、産卵を防ぐことができます。
シートは、植物全体を覆うように設置し、隙間なく密閉することが重要です。
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ただし、高温多湿になりやすいので、通気性に配慮し、こまめにシートを開けて風通しを確保しましょう。
防虫シートは、他の害虫の侵入も防ぐため、総合的な害虫対策として役立ちます。
夏越し
ビオラ・ラブラドリカは夏の高温多湿に弱いため、夏越しには注意が必要です。
赤玉土などの粒状の用土を混ぜることで、通気性と水はけを良くし、根腐れを防ぎます。
また、日当たりと風通しの良い場所に植えることで、蒸れを防ぎ、病気の発生を抑えられます。
梅雨以降は、半日陰の場所に移動させるのが理想的です。
庭植えの場合は、西日の当たらない場所を選びましょう。
真夏の直射日光は避け、適度な日陰を確保することが夏越しの鍵となります。
肥料を与えすぎない
ビオラ・ラブラドリカに肥料を与える際は、与えすぎないように注意が必要です。
肥料を与えすぎると、葉が茂り過ぎて花つきが悪くなったり、徒長したりする可能性があります。
適量の肥料を与えることで、健全な生育を促します。
目安としては、月に1回程度、少量の液体肥料を与えるのが良いでしょう。
肥料を与える際は、葉に直接かからないように注意し、土の表面に与えるようにします。
また、肥料を与えた後は十分に水やりを行い、肥料焼けを防ぎましょう。
植物の様子を見ながら、肥料の量や頻度を調整することが大切です。
まとめ
ビオラ・ラブラドリカは、小さな花と黒っぽい葉が特徴的な、可愛らしい多年草です。
グランドカバーとして活用でき、半日陰でも育つ強健さを持っています。
しかし、こぼれ種による思わぬ場所からの発芽や、害虫の発生などの問題にも注意が必要です。
花がらのこまめな摘み取り、夏越しのための工夫、防虫シートの活用、適量の肥料管理など、育てるコツを実践してみてください。
少し手間をかけることで、ビオラ・ラブラドリカはあなたの庭をより美しく、魅力的に彩ってくれるでしょう。