美しい花を咲かせるつる性のハゴロモジャスミン。
春ごろに白や薄いピンクの可愛らしい花で見る者を楽しませてくれます。
ただ、可憐な花姿とは裏腹に庭に植えると迷惑になるので植えてはいけないとされる庭木の一種なのはご存じですか?
その大きな理由が、生育が旺盛すぎることと、香りが強すぎること。
ハゴロモジャスミンの花は甘い香りで、遠くからもその存在がわかるといわれるほどなのになぜなのでしょうか。
本記事では、庭にハゴロモジャスミンを植えてはいけない理由を詳しくご紹介します。
なぜ庭にハゴロモジャスミンを植えてはいけないの?
生育が旺盛すぎる
ハゴロモジャスミンを植えるのを避けたほうがいいとされる理由は、その速い成長と大きさにあります。
ハゴロモジャスミンは常緑のつる性の木で、高さは2メートル程度の低木です。
ただし、春から秋にかけて非常に旺盛に成長し、次から次へと蔓を伸ばします。
花が咲き終わった後に剪定をしますが、それでも蔓はどんどん伸びてしまいます。
さらに、地面に触れた部分から根を出して新しい芽を育て、さらに広がります。
この蔓には壁やフェンスに登る能力もあるため、植える場所によっては建物やフェンスを覆ってしまい、日光を遮ることがあります。
このように、ハゴロモジャスミンはこまめに剪定などのお手入れをしないと大きくなりすぎてしまいます。
忙しい方や頻繁に剪定するのが難しい場合は、管理が簡単な他の植物を選んだほうが良いでしょう。
花の香りがきつい
ハゴロモジャスミンを植えるのを避ける理由の一つは、非常に強い香りがするからです。
ジャスミンに似た香りがしますが、ハゴロモジャスミンの香りの方がずっと強烈です。
小さな苗や鉢植えの時期は純粋にその香りを楽しむことができますが、成長するにつれて花数が増えると、香りが強くなりすぎて困った状況を引き起こしてしまうことも。
実際にハゴロモジャスミンを好んで植えた人でも、植物が大きくなり花が多くなると、その強い香りが原因で気分が悪くなり、結局は手放すことになる場合もあるほどです。
さらにハゴロモジャスミンの香りは遠くまで届くため、ご近所とのトラブルになることもあります。
周りの植物の生育を阻害する
ハゴロモジャスミンは根が強く広がりやすいため、特に鉢植えの場合は根が詰まることがあります。
他の植物の近くに植えると、ハゴロモジャスミンが周りの栄養を吸い取り、他の植物の成長を阻害する可能性があるためです。
また、ハゴロモジャスミンの蔓が他の植物に絡みついて弱らせることや、広がった蔓が日光を遮ってしまい、他の植物の生育に悪影響を及ぼすこともあります。
そのため、庭でハゴロモジャスミンを育てる場合は他の植物との距離を考えて植えてあげましょう。
木質化してしまう
ハゴロモジャスミンを植える際の注意点の一つとして、時間が経つにつれて木質化することが挙げられます。
初めは蔓が柔らかいのですが、徐々に硬くなって木質化していきます。
木質化は剪定で進行を遅らせることはできますが、完全には防げません。
木質化が進むと新芽が出にくくなり、花が咲きにくい状態になることもあります。
また、蔓が固くなると剪定や形を整えるのが難しくなります。
そのため、ハゴロモジャスミンをきれいに保つためには、定期的な剪定や株の更新が必要になります。
寒さに弱い
ハゴロモジャスミンを避けた方が良い理由の一つは、寒さに非常に弱いためです。
この植物は暖かい気候を好むので、寒冷地での栽培は適していません。
気温が0℃を下回ってしまうとダメージを受けてしまうので、理想的には5℃以上の環境が必要です。
関東地方以北のような寒い地域では、冬の厳しい寒さに耐えられず葉が枯れてしまうことがよくあります。
さらに、寒さのために花の蕾も傷んでしまい、春になっても花が咲かないことが多くなります。
そのため、0度以下になる地域では、ハゴロモジャスミンが常緑樹としての見栄えを保つのは難しいでしょう。
ハゴロモジャスミンに毒性はある?
ハゴロモジャスミンには毒性はありません。
ハゴロモジャスミンと名前の似ている
・カロライナジャスミン
・マダガスカルジャスミン
には毒性があるので要注意。
ですが、同じジャスミンとついていても、ハゴロモジャスミンとは分類される科も違う植物です。
ハゴロモジャスミンは香りが強い花ではありますが、毒性はないので安心して育てられるでしょう。
ハゴロモジャスミンをうまく育てるポイント
色々と心配な点があるハゴロモジャスミンではありますが、それを上回るメリットのある花でもあります。
以下の注意点を押さえて、ぜひハゴロモジャスミンを育ててみてください。
こまめな剪定
ハゴロモジャスミンの管理には、適切な剪定が必要です。
この植物は成長速度が速いので、大きくなりすぎたり木質化するのを遅らせるために剪定が重要です。
剪定することで風通しを良くし、ハダニやアブラムシなどの害虫の発生も抑えることができます。
ハゴロモジャスミンは新しい枝に花芽がつくため、4月から5月にかけての花が終わった後にすぐ剪定を行うのが良いでしょう。
花後は植物が健康に回復するので、枝を大胆に短く切り戻しても大丈夫です。
特に伸びすぎた枝は、枝先から二分の三から半分くらいを切り取るのが適切です。
もしハゴロモジャスミンをコンパクトに保ちたい場合、一度の剪定だけでは不十分なことがあります。
そのため、花後から9月ごろまでは、伸びすぎた蔓や密集した部分を定期的に切り戻すことがおすすめです。
太く強い枝は残し、横に伸びた細いツルを剪定しましょう。
また、9月以降は花芽が形成されるので、剪定は控えめにする必要があります。
ニオイを抑制する
ハゴロモジャスミンの可憐な花から出る香りには一種のくどさがあり、動物的なニオイや不快なニオイに感じる人も少なくありません。
この香りは風に乗って遠くまで広がり、隣や近所にも独特の香りを放ってしまいます。
そんな迷惑なニオイが原因となり、近隣トラブルに発展することも・・。
トラブルを避けるためには、以下のような対策が効果的です。
植える場所を選ぶ
ハゴロモジャスミンは、隣家から離れた庭の端など、香りが直接届きにくい場所に植えることが望ましいです。
剪定による成長管理
上記の通り、生育旺盛なハゴロモジャスミンはこまめな剪定が大切ですが、それは香りを抑える上でも同じです。
定期的に剪定を行い、植物の成長や花の数を適度に抑えることで、香りの拡散を控えめにすることができるでしょう。
鉢植えで育てる
もし寒い地域でハゴロモジャスミンを育てる際は、鉢植えがおすすめです。
ハゴロモジャスミンは寒さに弱いため、特に気温が0℃以下になる可能性がある地域では庭植えより鉢植えで育ててあげましょう。
地植えの場合、寒波で葉が枯れるリスクがありますが、鉢植えなら多くの利点がありますよ。
移動が簡単
鉢植えは寒冷期に植物を屋内や温室に簡単に移動できるため、厳しい気候から植物を守り、生存率を向上させることができます。
温度管理がしやすい
鉢植えは地植えに比べて土の温度を安定させるのが容易で、低温によるダメージを減らすことができます。
必要に応じて保護カバーを使用することで、さらにハゴロモジャスミンを保護することが可能です。
配置換えもしやすい
鉢植えでは植物の位置を季節や天気に合わせて調整しやすいため、最適な環境で成長するよう管理することができます。
このような鉢植えのメリットを活用することで、ハゴロモジャスミンを寒冷地でも健康的に育てることができ、植物の美しさを長期間保つことが可能です。
ハゴロモジャスミンの花言葉や風水は?
ハゴロモジャスミンには、「愛嬌」「優しさを集めて」など、美しい見た目と香りを表すたくさんの花言葉があります。
また、「気立ての良さ」「優美」「誘惑」「清純」「官能的な愛」「愛らしさ」という言葉も、この花の魅力を象徴しています。
怖い意味の花言葉はないので、純粋に花の持つ意味を楽しむことができるでしょう。
ハゴロモジャスミンを育てるときに、これらの花言葉を意識すると、より一層楽しめるかもしれません。
風水では、ハゴロモジャスミンが運気を上げるとされています。
特に、人間関係や家庭運が向上すると言われており、家や庭に植えると良い影響があると考えられています。
まとめ
美しい花を咲かせるハゴロモジャスミンは、決して庭に植えてはいけない植物ではありません。
ただし、生育が旺盛で数年後にはたくさん茂り、香りがきつくなることも考えられます。
また木質化が進むと花も咲かないこともあるため、あまりお手入れに手間をかけたくない方には不向きでしょう。
剪定や切り戻しなどお手入れは必要ですが、愛情をかけた分だけ可愛くなるのが植物です。
デメリットを考慮した上で植えてあげましょう。
ハゴロモジャスミンは庭のアーチやフェンスに絡ませて大きく茂らせると、春の花期は壮観です。
ぜひ、こまめにお手入れをして可愛がってあげてくださいね。