春を告げる花といえば、桜ですよね。
日本人と桜の歴史は古く、日本人の心と深く結びついた花といえるのではないでしょうか。
そんな桜の木を庭に植えて、いつでもお花見ができたら素敵ですよね。
でも桜の木を植えると育てる上でデメリットが多々あり、庭に植えてはいけない庭木に挙げられることも。
桜の木は日当たりが良い場所だとぐんと大きくなることがあるので、植えたことを後悔する声や、伐採に踏み切った例も少なくありません。
本記事では、庭に桜の木を植えてはいけないとされる原因や、大きくなってしまった桜の木を低くする方法についても解説します。
庭に桜の木を植えてはいけないのはなぜ?
大きくなりすぎるから
桜の木は旺盛な成長力を持ち、日当たりの良い場所では横にぐんぐんと大きくなる特徴があります。
そのため、庭に桜の木を植える際には、広いスペースが必要だという点を覚えておかなければいけません。
桜の木の根は非常に強力で、植えられた場所の土から多くの栄養を吸い取ります。
これにより、近くの植物への栄養供給が不足し、それらの成長が阻害されたり枯れてしまうことが起こます。
加えて、栄養を豊富に吸収して成長した桜の根が時間とともに地表近くに広がり、これが建物の基礎に損傷を与えるリスクもあるでしょう。
桜の木が成熟すると、幹の周りは1メートル以上になり、樹高や枝が広がる範囲も10メートル以上に達することもあります。
このため、植える場所は慎重に選ばなければいけません。
さらに、花びらや落ち葉が広い範囲に散らばるため、木本体の幅以上のスペースが必要となります。
害虫がたくさん来るから
庭に桜の木を植える際に考慮すべきもう一つの問題は、病害虫の管理が非常に難しいということです。
桜は害虫に侵されやすく、多くの病気にも感染しやすい特性も持っています。
特に、人体に有害なチャドクガやイラガのような毛虫や、アメリカシロヒトリなどの害虫が頻繁に発生します。
それに加えて、クビアカツヤカミキリやシロアリのような特定外来生物が寄生するリスクもあります。
さらに、せん孔褐斑病や幼果菌核病、コブ病、がんしゅ病、てんぐ巣病などの治療が困難な伝染病にもかかりやすいため、これらを予防するためには定期的な薬剤の散布が不可欠です。
桜が成長して大きくなると、これらの管理はさらに手間とコストが増えるため、最終的には専門の業者に依頼することが必要になることが多いです。
掃除が大変
庭に桜の木を植える際、注意すべきデメリットの一つが、花びらや落ち葉の掃除の手間です。
春だけでなく、秋にも桜の木は一斉に葉を落とすため、季節を通じて掃除が必要になります。
木が大きくなるほど、落ちる花びらや葉も多くなり、それに伴い清掃やゴミの処理が一層大変になります。
特に風雨の強い日には、花びらが飛び散りやすく、隣家の庭や駐車場に入り込むことがあり、近隣とのトラブルの原因になることもあります。
花びらや落ち葉の掃除は、ひたすら清掃するしか対策がなく、枝垂れ桜や低めの樹高の品種であっても同様の問題が起こります。
花びらは非常に薄くて掃除しにくく、特に車や不整形のコンクリート、砂利の上に落ちると取り除くのが困難です。
このため、「桜の木を植えなければよかった・・」と後悔する一因となることがあります。
迷信:縁起が悪い
桜の木には色々な迷信があるため、古くから庭に植えると縁起が悪いとされてきました。
桜の木には不吉なイメージがあったり、短命や失敗を連想させること、そして戦争や死を思い起こさせることがその理由です。
桜の木が不吉とされるのは、「桜の木の下に死体が埋まっている」とか「桜が生き物の血を吸って花を咲かせる」といった話に基づいています。
これらは梶井基次郎の「桜の樹の下には」という作品に影響されたもので、この小説の印象的な冒頭文により広まりました。
これらの話は物語の一部に過ぎませんが、今でも迷信として広く受け入れられています。
それに加えて、桜が慰霊の木として用いられることや、他の植物より多くの栄養を吸い取る性質があるため、現実感のある迷信としても知られています。
また、「失敗」という語は、桜の花がすぐに散る様子から連想されます。
桜の花が命短しとされ、これが「短命」を象徴するともされています。
さらに、戦争で命を落とすことを桜の花が散ることになぞらえて表現することもあります。
このようなイメージは、「同期の桜」という軍歌や「桜花」という特攻兵器によって強調されています。
これらの理由から、桜の木が死や不吉の象徴とされ、植えるべきではないと言われるようになりました。
しかし、これはあくまで迷信であり、実際に桜の木を植えることが人体や生活に悪影響を与えるわけではありません。
育てる上で色々とデメリットはありますが、このような迷信は心配しなくてもよいでしょう。
桜の木は切ってはいけない?
庭に桜の木を植える場合、剪定の困難さも考慮する必要があります。
桜の木は自然に成長すると屋根を超えるほど大きくなる可能性があるため、適切な大きさに保つためには定期的な剪定が必要です。
しかし、太い枝を切るときには、木が弱るリスクや、切り口から雑菌が侵入して木が枯れる可能性もあります。
そのため、古くから「桜の木は切ってはいけない」と言い伝えられてきました。
木が大きく成長してしまい、自分での剪定が困難になると、専門の業者に依頼することも選択肢の一つに入れましょう。
桜の木の植えると、薬剤散布と同様に毎年一定の費用がかかるため、維持・管理をするための負担が増えることになります。
桜の木をうまく育てるポイント
品種を選ぶ
桜の木を植える場合、成長を抑制できる品種を選ぶことが大切です。
庭のサイズを考えて、大きくなりすぎる桜の木を避けましょう。
成長した桜の木は多くのスペースを必要とし、メンテナンスが困難になるだけでなく、病害虫の発見が遅れたり、治療費や専門業者への依頼費用が増加する可能性があります。
管理が容易な低木タイプの桜、例えばおかめ桜や小彼岸桜、鉢植えや盆栽に適した旭山桜を選ぶと、より簡単に管理できます。
小さい庭や限られたスペースに最適な桜の品種には、旭山桜があります。
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これは淡い赤色の花を咲かせ、高さが約2メートルにとどまるため、容易に栽培できます。
また、冬桜はヤマザクラとマメザクラの自然交配から生まれた品種で、その白い花は一見の価値があります。
十月桜はエドヒガンとマメザクラの交雑種で、主に白い花をつけますが、稀に淡いピンクや濃いピンクの花を見ることができます。
これらの桜の品稀は美しい花を楽しむことができ、庭のサイズやスペースに制限されずに育てやすいため、特におすすめです。
プロに任せる
桜の木を植える計画を立てる時は、その成長に合わせた管理が必要です。
特に、桜が大きくなるにつれて、剪定や害虫駆除などの専門的なお手入れが求められます。
そのため、プロの業者に依頼することも検討してください。
また、たとえ低木種を植えたとしても害虫の被害に遭う可能性は高いので、事前に業者を選んでおくことや費用の見積もりを取ることが大切です。
さらに、もし桜の木の管理が難しくなった場合、伐採や廃棄の費用も高額になることがあります。
経済的な面も考えて、桜の木を植えるかどうか慎重に判断しましょう。
桜の木を低くするには?
桜の木は、日当たりが良いとどんどん枝を伸ばして大きく成長します。
庭植え向きの樹高の低いサクラ類をきれいな形で保つには積極的な剪定が必要です。
日本では古くより「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ともいわれてきましたが、桜の木を剪定すると切り口から雑菌が入って腐ってしまうことがよくありました。
近年では切り口の癒合剤や処理剤が開発されており、適切に処理すれば容易に剪定できるようになってきました。
大きくなってしまった桜の木を低くするには、冬場の落葉期の12月~翌年2月ごろに剪定を行いましょう。
太い枝を切る「枝おろし」は、枝の根元から行い、膨らんだ部分を残してそのすぐ上で切ります。
枝を短くするときは、枝が分かれる点の少し上で切るのがポイントです。
また、伸びすぎた新しい枝を剪定する際には、これから伸びる芽を考慮し、その芽から約3ミリメートル上を少し斜めに切ります。
剪定した後の切り口には、抗菌作用のある癒合剤を塗ることで、病気の予防にも効果的です。
まとめ
春の日本には、美しい桜の木が庭にあると魅力的です。
上記の通り、桜を植えることには慎重になるべき理由がいくつかあります。
桜の木にはいくつかの問題が伴うことがあり、縁起が悪いとされることや病害虫に弱いことが挙げられます。
それでも桜は素晴らしい植物であり、適切な管理と注意を払えば問題なく育てることができます。
ぜひご自宅の庭にぴったりな品種の桜を見つけてくださいね。