コーヒーは世界中で親しまれている飲み物ですが、その原料となるコーヒー豆を生産するコーヒーの木(コーヒーノキ)を、自宅の庭に植えることはおすすめできません。
それは、コーヒーの木が寒さに弱い植物で、栽培には専門的な知識と技術が必要とされるからです。
とはいえ、コーヒー好きの方なら自宅でコーヒーの木を育ててみたいという憧れは誰もが一度は持つものかもしれませんね。
そこで本記事では、コーヒーの庭に植えてはいけないとされる理由とうまく育てるポイントを詳しく解説します。
コーヒーの木は、庭植えには向いていない植物ではありますが、工夫次第では身近に育てることも不可能ではありません。
ぜひ参考にしてくださいね。
なぜ庭にコーヒーの木を植えてはいけないのか?
コーヒーの木を自宅の庭に植栽することは、多くのコーヒー愛好家にとって憧れるものではないでしょうか。
しかし、実際にコーヒーの木を庭で育てるには難しいデメリットが2つあります。
・日本の寒さに弱い
・病害虫に弱い
それぞれ詳しく解説します。
日本の寒さに弱い
まず1つ目の理由は、コーヒーの木が寒さに非常に弱い植物だということです。
コーヒーの木の原産地は、アフリカやマダガスカルなどの熱帯地域です。
有名なコーヒー豆の産地は「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道付近に集中しています。
そのため、コーヒーの木は耐寒性が低く、気温が10℃を下回るような環境では、葉が茶色く変色し、やがては枯死してしまう可能性が高いのです。
室内で栽培する場合でも、室温が低すぎると枯れてしまうことがあります。
日本の気候では、沖縄や小笠原諸島を除く地域において、コーヒーの木を庭に地植えすることは現実的ではありません。
たとえ地球温暖化の影響で暖冬傾向にあったとしても、冬季の気温が10℃以下に下がることは避けられないでしょう。
そのため、コーヒーの木が枯死するリスクは高いと言わざるを得ません。
昨今、沖縄ではサッカー元日本代表の高原直泰氏が率いる沖縄SVというチームが、コーヒー栽培に取り組んでいることでも知られています。
病害虫に弱い
2つ目の理由は、コーヒーの木が病害虫の被害を受けやすいことです。
うどん粉病や炭疽病などの病気、アブラムシやカイガラムシなどの害虫が発生しやすく、地植えでも鉢植えでも、その被害から逃れることは難しいでしょう。
特に、収穫したコーヒー豆を食用として利用したい場合は、農薬の使用には慎重にならざるを得ません。
病害虫の発生を未然に防ぐか、発生した際には手作業で駆除するなど、細やかな管理が求められます。
結実しないことも
コーヒーの木が実を結ぶまでには、長い年月を要します。
通常、3~5年ほどかかると言われていますが、環境条件が整っていなかったり、適切な栽培管理が行われなかったりした場合には、実がならないこともあるのです。
たとえ実を結んだとしても、高品質のコーヒー豆を得るためには、収穫時期の見極めや、収穫後の発酵・乾燥などの後処理が非常に重要になります。
上記のように、コーヒーの木を庭で育てることは、耐寒性の低さと病害虫の多さという2つの大きな課題を抱えています。
また、木を植えてから数年経っても実がならないことも。
これらの点を十分に理解し、適切な栽培環境を整えられるかどうかを見極めることが大切だと言えるでしょう。
コーヒーの木をうまく育てるポイント
コーヒーの木の栽培に挑戦してみたいという方は、まだ諦めるのは早いかもしれません。
いくつかの重要なポイントを押さえることで、誰でも自宅でコーヒーの木を育てることができるのです。
地植えしない
まず、コーヒーの木は鉢植えで育てることをおすすめします。
沖縄や小笠原諸島以外の地域では、地植えは現実的ではありませんが、鉢植えであれば、花を咲かせたりコーヒー豆を収穫したりすることも可能です。
春から秋にかけては、気温が10℃を下回らない時期に、戸外でたっぷりと日光に当てて管理しましょう。
ただし、真夏の強すぎる直射日光は、葉焼けの原因になるので避けるようにしてください。
また、土の表面が乾いたら、こまめに水やりを行うことを忘れずに。
冬になり気温が下がってきたら、コーヒーの木を室内に取り込むことが大切です。
室内でも、できるだけ日差しに当てるために、窓際が鉢の置き場所としてベストでしょう。
しかし、厳寒期には室内でも気温が5℃を下回ることがあるかもしれません。
そのような場合は、家の中でも特に暖かい場所に移動させるのがよいでしょう。
夜間は窓際の温度が下がりやすいので、昼間は窓際でも、夜は別の場所に移動させるのが無難です。
過湿状態を避ける
コーヒーの木を健康に育てるには、風通しにも気を配ることが大切です。
湿気の多い環境は、病害虫の発生を招きやすくなります。
できるだけ風通しのよい場所を選び、過湿にならないよう注意しましょう。
また、定期的な剪定により余分な枝を落とし、風通しを改善することも重要です。
冬に室内で育てる場合は、部屋の空気がこもりがちになることがあります。
かといって、エアコンの風が直接当たるのもコーヒーの木には良くありません。
暖房の送風が直接当たらない場所を選ぶようにしたいものです。
コーヒーの木の栽培は、少し手間がかかるかもしれません。
しかし、上記のようなポイントを押さえることで、自宅でも十分に育てることができるのです。
鉢植えで育て、季節に合わせて戸外と室内を行き来させ、風通しに気をつけて管理すれば、あなたもコーヒーの木を育てる喜びを味わえるはずです。
コーヒーの木を育てるメリット
コーヒーの木は、たとえ庭に直接植えることができなくても、身近に置いておくだけで、いくつかの素晴らしいメリットがあります。
甘く爽やかなな花の香りが楽しめる
まず、コーヒーの木が放つ花の香りは格別です。
コーヒーの木がある程度の大きさに成長すると、通常5~6月頃になると、美しい白い花を咲かせます。
この花は、まるで純白のベールをまとったかのように神秘的で、ジャスミンを思わせるような甘くて爽やかな香りを放ちます。
たとえ、コーヒー豆の収穫量が少なくて、自家製のコーヒーを楽しむことができなくても、この花の開花と芳香だけで、コーヒーの木を育てる価値は十分にあると言えるでしょう。
また、花が咲いていない時期でも、コーヒーの木の美しい葉は、観葉植物としての役割を十分に果たしてくれます。
風水的に見ると運気アップに
さらに、風水の観点からも、コーヒーの木は注目すべき存在です。
コーヒーの木は、金運、仕事運、健康運を上昇させる効果があると考えられています。
これに加えて、コーヒーの実が赤く熟する様子から、子宝に恵まれる運気も上げてくれるとされています。
もし、コーヒーの木を庭に植えるのが難しいのであれば、リビングや室内の適切な場所に置いてみるのもよいでしょう。
身近な空間に置くことで、コーヒーの木から放たれる良い運気を、より直接的に感じることができるかもしれません。
部屋の中に置かれたコーヒーの木が、あなたの生活にさまざまな恩恵をもたらしてくれることを期待してみてはいかがでしょうか。
コーヒーの木は、私たちに美しい花と芳醇な香りを届けてくれるだけでなく、風水的にも幸運を呼び込んでくれる存在なのかもしれません。
身近にコーヒーの木を置いて、その魅力を存分に味わってみるのはどうでしょうか。
コーヒーの木の種類とは
コーヒーの木(コーヒーノキ)には様々な種類が存在しますが、中でも人気の高い3つの品種について説明します。
アラビカ・コーヒーノキ
アラビカ・コーヒーノキは、エチオピアなど熱帯西アフリカが原産のアカネ科の常緑性低木です。
この品種は芳香のある白い一日花を咲かせ、その果実からコーヒーが作られます。
アラビアコーヒーノキとも呼ばれ、観葉植物として流通するコーヒーノキの多くがこの品種です。
ロブスタ・コーヒーノキ
ロブスタ・コーヒーノキは、ビクトリア湖から西アフリカ原産のコーヒーノキの一種で、高温多湿の気候に適応しています。
樹高は2メートルから9メートルほどに達し、大きな傘のような形に成長します。
アラビカ種の栽培に不向きな地域で主に栽培されています。
リベリカ・コーヒーノキ
三つ目はリベリカ・コーヒーノキで、アフリカのリベリアが原産です。
コーヒー豆の三大原種の一つですが、実が成熟するまでの期間が長く、豆の大きさにばらつきがあるため、流通量は世界全体の1%以下と非常に少ないのが特徴です。
ヨーロッパでの消費が多く、日本ではあまり見かけません。
この品種は生長すると17m程度にもなる大型の品種です。
以上が、代表的なコーヒーノキの品種の特徴です。
それぞれの品種が持つ個性や栽培適地の違いなどを理解することで、コーヒーの多様性をより深く味わうことができるでしょう。
まとめ
コーヒーの木を健康に育てるには、その特性をしっかりと理解し、適切な栽培環境を整えることが何よりも大切です。
寒さと病害虫という2つの大敵から、コーヒーの木を守るための工夫を怠らないことが、成功の鍵を握っているのかもしれませんね。
庭に直接植えるのではなく、鉢植えで大切に育てることで、コーヒーの木の魅力を存分に味わうことができるでしょう。
美しい花を咲かせ、芳醇な香りを放つコーヒーの木を、ぜひ身近に置いてみてはいかがでしょうか。
きっと、あなたの日常に癒しと彩りを与えてくれることでしょう。