シマトネリコは、モクセイ科に分類される植物で、元々は亜熱帯地域に自生しています。
日本では沖縄でよく見られますね。
かつては、関東地方の寒さでは生育が困難だとされていました。
しかし、地球温暖化により冬が温かくなったため、今では関東や中部地方などの寒い地域でも育てやすくなり、住宅の庭や公園、街路樹として広く使われるようになりました。
シマトネリコは常緑樹で、装飾的な羽状の葉が特徴です。
この美しい緑の葉は一年中楽しめるため、住宅デザイナーにも人気です。
ただし、庭に植えるにはいくつか注意が必要で、問題が起きることもあるため、慎重に選ばなければいけません。
この記事では、なぜシマトネリコを植えてはいけないのか、またシマトネリコを植える際の注意点を詳しく説明します。
なぜシマトネリコを植えてはいけないの?その理由
成長が早く大きくなりすぎる
シマトネリコは急速に大きくなる樹木で、成長すると高さが10メートルを超えることもあります。
この木は1年間で約40cm成長するため、定期的な手入れが必要です。
急速に成長することのデメリットとして、日光が遮られたり、剪定が非常に大変になったりすることがあります。
成長を放置すると、建物を覆ってしまい、窓からの光が遮られ、風通しが悪くなることがあります。
日当たりが悪くなると、湿気が増えてしまって、庭にキノコが生えることもあるんですよ。
庭いじりが趣味の人であれば問題ないかもしれませんが、シマトネリコのように定期的な剪定が必要な木は、思った以上に手間がかかります。
特に狭い庭では、剪定作業がさらに難しくなります。
このような理由から、「シマトネリコは植えるべきではない」という意見もあります。
また、びっくりすることに耐寒性のあるシマトネリコの中には、1年で70cm成長するものも存在します。
落ち葉や花の掃除が必要
シマトネリコは通常、常緑樹とされていますが、実は「半常緑樹」に分類されるべき植物です。
半常緑樹は、気候の変化に応じて一部の葉を落とす樹木のことを指します。
シマトネリコはもともと沖縄原産で、本州や北海道のような寒冷地で冬を迎えると葉が落ちることがあります。
また、新しい芽が生える時期には古い葉が枯れて落ちる現象も見られます。
多くの人が常緑樹としての美しさや、落葉の手間が不要という点を期待していますが、シマトネリコはそんな期待を裏切ることがあります。
実際にこの木を植えた人の中には、「だまされた」と感じる人も少なくなく、「シマトネリコを植えるべきではなかった」と後悔することがあるようです。
また、シマトネリコは夏に白い花をたくさん咲かせます。
多くの人がこの花のことを知らないので、初めて目にすると驚くことも多いと思います。
しかし、この美しい花は意外な問題も引き起こすことも・・。
シマトネリコが成長すると、豊富に花が咲きますが、花期が終わると花びらが大量に飛び散るのです。
家の周りや近隣に花の残骸が広がり、掃除が必要になることもあります。
特に花が咲くことを知らなかった人にとっては、この掃除が予想外の手間となり、ストレスを感じることがあるでしょう。
種が飛ぶ
シマトネリコは雌雄異株の植物で、雌の木が花を咲かせた後、種をつけます。
この種は羽状で風に乗りやすいため、遠くまで飛び散って広がる性質を持っています。
飛び散った種はどこでも発芽する強い生命力を持ち、特に溝や隙間などに入り込むと、一度発芽してしまうと抜くのが非常に大変です。
このように、シマトネリコの種は管理が難しく、意図しない場所に広がることがあります。
虫を引き寄せる
シマトネリコの樹液はカブトムシやハチなどの昆虫を引き寄せる性質があります。
特にカブトムシはこの樹液を非常に好むため、樹液を求めてシマトネリコの樹皮を傷つけることがあります。
その結果、カブトムシが害虫として扱われることもあるのです。
特に虫嫌いな人にとっては最悪な事態。
シマトネリコを植えると、思ってもいなかった虫を引き寄せてしまい、植えたことを後悔する人も多いようです。
根っこが張りすぎる
シマトネリコは成長が非常に早く、高さだけでなく根もすぐに広がります。
この根が強く広がる性質があるため、家の近くに植えると建物の基礎に影響を与え、最悪の場合、家が傾く恐れもあります。
また、隣の家のすぐそばに植えた場合、根が隣地に伸びてしまい、近隣住民とのトラブルの原因になることもあります。
そのため、自宅や他の住宅の近くにシマトネリコを植える際は特に注意が必要です。
さらに、シマトネリコをガス管や水道管の近くに植えると、根が配管を破壊する可能性があります。
水道管を破裂させることもあるため、配管が通っていない広い場所で植えるのがよいでしょう。
シンボルツリーとしては定番すぎるかも
シマトネリコは2010年代に流行し、新築の一戸建てやマンションの庭によく使われる定番の庭木となりました。
この木は今でも新築住宅によく植えられており、一般的なイメージが強いです。
個性を大切にしたい人にとって、シマトネリコはあまりにもポピュラーであり、他とは違う特別な雰囲気を求める場合には向かないかもしれませんね。
このため、シンボルツリーとして独自性を求める場合は他の選択肢を考えた方が良いでしょう。
シマトネリコを上手く育てるポイント
シマネトリコは、成長の早さやお掃除など管理する上で大変かもしれません。
でもシマトネリコほど安価で育てやすく、虫害や病気に強い木もあまりないんですよ。
和風の庭にも洋風のお宅にも似合うので、デメリットを知った上で育ててみたい!という方も多いと思います。
そこで庭でシマトネリコを上手く育てるポイントを2つご紹介します。
十分なスペースを確保する
シマトネリコを家の近くや重要なインフラの近くに植えると、いくつかの問題が起こる可能性があります。
例えば、家の基礎が損傷するリスクがあるほか、室内が暗くなることも考えられます。
さらに、電気や水道の配管の近くに植えると、根が配管を壊したり、木を伐採する際に配管にダメージを与える恐れがあります。
そのため、シマトネリコを植える際は、家や配管から離れた広いスペースを選び、地下に重要な設備がない場所を選ぶことが重要です。
これによって、前述したような問題を避けながら、安全に木を育てることができます。
上記の通り、シマトネリコが問題を起こす主な原因は、狭い庭で適切な管理をせずに自由に大きく育ててしまう場合です。この樹木は剪定が必須で、剪定作業が苦手な人や狭いスペースには向いていません。
それでもシマトネリコを庭で楽しみたい場合は、大きな植木鉢で育てる方法があります。鉢植えにすることで植物の成長は自然と制限され、根が周囲に与える影響も少なくなります。
さらに、鉢植えなら不要になったときの処分もラクにできますよ。
定期的に剪定
シマトネリコがあまりにも大きく育つと、色々と問題が生じることがあります。
たとえば、室内の日当たりが悪くなる、他の植物の成長が阻害されるといったことです。
また、風通しが悪くなることでキノコやカビが生えやすくなり、落ち葉や花びらが多く散らばることもあります。
さらに、虫が集まることが多くなり、剪定が難しくなるため、専門の技術が必要とされることもあります。
普通の家庭の庭でシマトネリコを育てる場合、木の高さを約3メートルに保つことが理想的です。
この高さを維持するためには、「芯止め」という方法で成長点を制限する剪定を行うと良いでしょう。
これによって木の成長を適切にコントロールし、上記のような問題を防ぐことができます。
まとめ
シマトネリコを植える際に気をつけるべき点や問題点をいくつかお話ししました。
シマトネリコは見た目が魅力的で庭木としてもぴったりだと思われがちですが、詳しい情報を知らずに植えてしまうと、数年後に後悔する可能性があります。
それでも、シマトネリコは魅力が多い植物です。
涼しげでかわいらしい葉が特徴で、生命力も強く、病害虫の心配が少ないため、多くの人に愛されています。
シマトネリコを育てたいと考えているなら、その特徴をよく理解し、適した場所に植えることが重要です。
また、定期的な剪定などの適切な手入れをすることで、シマトネリコの美しさを最大限に引き出すことができますよ。