エルダーフラワー(西洋ニワトコ)は美しい花を咲かせ、果実も食用になる魅力的な植物。
ヨーロッパ各地で自生し、庶民の薬草ともいわれるハーブですが、「エルダーフラワーは庭に植えてはいけない」と言われることもあります。
その理由は、エルダーフラワーはその強い繁殖力や成長の早さから、庭を占拠してしまう可能性があるためです。
エルダーフラワーを植えた後に後悔する人もいるようです。
しかし、エルダーフラワーにはたくさんのメリットもあります。
適切な場所に植え、きちんとした管理を行えば、その魅力を存分に楽しむことができるでしょう。
今回は、エルダーフラワーの特性を踏まえ、上手に育てるためのポイントをご紹介します。
エルダーフラワーの魅力と注意点を知って、素敵な庭づくりを目指しましょう。
庭にエルダーフラワーを植えてはいけない理由5つ
大きくなりすぎる
エルダーフラワーは成長が非常に早く、放っておくと庭全体に広がる可能性があります。
高さ10メートル、幅4メートルにまで達することもあるため、狭い庭や他の植物との共存が難しくなります。
また、強い風で枝が折れたり、倒木の恐れがあるため、定期的な剪定が必要不可欠です。
大きくなりすぎたエルダーフラワーは、庭の景観を損ねる可能性もあります。
繫殖力の強さ
エルダーフラワーは繁殖力が非常に強く、根からの新しい芽が多数発生します。
放置すると、あっという間に庭中に広がってしまいます。
また、鳥が果実を食べて種を運ぶため、意図しない場所で新しい株が発生することもあります。
エルダーフラワーの繁殖をコントロールするには、定期的な芽かきや根の管理が必要です。
お手入れを怠ると、庭の管理が大変になってしまうでしょう。
他の植物を駆逐する
エルダーフラワーの根は広範囲に広がるため、周囲の植物の根と競合し、養分や水分を奪ってしまいます。
その結果、他の植物が枯れてしまうこともあります。
毒性を持つ
エルダーフラワーの花と熟した果実以外は、有毒です。
未熟な果実、葉、茎、根には、青酸配糖体(シアン配糖体)という毒性物質が含まれています。
この物質は、消化器系に刺激を与え、嘔吐や下痢などの症状を引き起こす可能性があります。
特に、ペットや小さな子供が誤って食べてしまうと危険です。
また、枝や葉に触れた後に手を口に持っていくと、皮膚や粘膜に刺激を感じることがあります。。
虫害
エルダーフラワーは、アブラムシやカミキリムシなどの害虫に悩まされることがあります。
アブラムシは葉の汁を吸い、すすを排出して葉を汚します。
カミキリムシは枝に穴を開けて幼虫が成長し、枝を枯らしてしまいます。
また、うどんこ病などの真菌類の感染にも注意が必要です。
庭でエルダーフラワーを育てるメリット
エルダーフラワーは「庭に植えてはいけない」と言われがちですが、実は魅力たっぷりの植物なんです。
エルダーフラワーの魅力を知れば、きっとあなたも植えたくなるでしょう。
初夏に美しい花を咲かせる
エルダーフラワーは、初夏に大きな白い花を咲かせる魅力的な植物です。
花は直径10~20cmにもなる大きな円錐花序を形成し、その美しさは庭を一気に華やかにしてくれます。
花期は5月から6月頃で、約2週間ほど続きます。
この時期、エルダーフラワーの白い花は庭の主役となり、訪れる人々を魅了するでしょう。
また、花は淡い甘い香りを放ち、庭に心地よい雰囲気をもたらします。
エルダーフラワーを庭に取り入れることで、初夏のガーデニングがより一層楽しくなること間違いなしです。
丈夫で育てやすい
エルダーフラワーは丈夫な植物で、育てやすいという大きなメリットがあります。
適した環境さえ整えば、ほとんど手間をかけずに育てられる低メンテナンスな植物です。
日当たりと水はけの良い場所を好みますが、土質はあまり選ばず、貧栄養の土地でもよく育ちます。
また、寒さにも強く、冬の寒さにも耐えることができるため、一度植えれば長年楽しむことができます。
病害虫にも比較的強く、健康的に成長してくれる頼もしい存在です。
ガーデニング初心者の方でも、エルダーフラワーなら安心して育てられるでしょう。
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食用にできる
エルダーフラワーは、美しい花を咲かせるだけでなく、食用としても利用できる実用的な植物です。
花と完熟した果実は食用になり、様々な料理や加工品に活用できます。
花はハーブティーやコーディアル、シロップなどに利用され、爽やかな風味を添えてくれます。
果実は濃い紫色に熟し、ジャムやゼリー、ワインなどにも加工できます。
エルダーフラワーを育てれば、庭で収穫した花や果実を使った手作りの料理や加工品を楽しむことができるでしょう。
庭でエルダーフラワーをうまく育てるポイント
日当たり・水はけ
エルダーフラワーは日当たりを好む植物です。
日光が良く当たる場所を選んで植えましょう。
また、水はけが悪いと根腐れを起こすため、水はけの良い土壌を選ぶことが大切です。
適度な水やり
エルダーフラワーは水を好む植物ですが、過度の水やりは根腐れを引き起こします。
土の表面が乾いたら水を与えるようにし、水をやりすぎないように注意しましょう。
プランターで育てる
プランターで育てることで、エルダーフラワーの成長をコントロールしやすくなり、限られたスペースでも楽しむことができます。
エルダーフラワーをプランターで育てる場合、大きめのプランターを選ぶことが重要です。
エルダーフラワーは成長が早く、根も広がるため、十分な容量のプランターが必要です。
地植えなら余裕を持ったスペースに
エルダーフラワーは大きく成長するため、地植えする場合は十分なスペースを確保することが重要です。
エルダーフラワーは大きく成長し、高さ5メートル以上、幅4メートル以上にまで達することもあります。
狭い場所に植えると、他の植物を圧迫してしまったり、通路をふさいでしまう可能性があります。
また、エルダーフラワーの根は広範囲に広がるため、建物の基礎や配管などから十分な距離を取ることも大切です。
根止め
エルダーフラワーは根が非常に広がりやすい性質を持っているため、根止めを行うことが大切です。
根止めをしないと、エルダーフラワーの根が庭中に広がり、他の植物の成長を妨げたり、配管や建物の基礎を傷つける可能性があります。
根止めには、地中に垂直に板や壁を設置する方法や、植え穴の周りに根切りシートを敷く方法などがあります。
こまめな剪定
エルダーフラワーは成長が早いため、定期的な剪定が必要です。
春先に古い枝を取り除き、新しい枝を残すことで、健康的な成長を促すことができます。
また、花後には花がらを取り除くことで、果実の成長を助けます。
虫害対策
エルダーフラワーを健康に育てるには、病害虫の予防と対策が欠かせません。
定期的に葉や枝を観察し、害虫や病気の兆候がないかチェックしましょう。
必要に応じて、適切な防除措置を講じることが大切です。
エルダーフラワーを小さく育てるには?
小型の品種を選ぶ
エルダーフラワーには、コンパクトに成長する小型品種があります。
ブラックレースやブラックビューティーといった品種は、通常のエルダーフラワーに比べて小さく、耐寒性・耐暑性もあり、庭木としても適しています。
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小さな庭や限られたスペースで育てる場合は、このような品種を選ぶことをおすすめします。
プランターで育てる
エルダーフラワーをプランターで育てることで、成長を制御しやすくなります。
プランターのサイズを選ぶことで、エルダーフラワーの成長をコントロールすることができます。
定期的に剪定する
エルダーフラワーの成長を抑えるには、定期的な剪定が効果的です。
春先に古い枝を刈り込み、新しい枝の数を制限することで、コンパクトな形を維持することができます。
また、夏の間にも成長が著しい枝を適宜カットすることで、樹形を整えましょう。
まとめ
美しい花は初夏の庭を華やかに彩り、果実は食用としてジャムやワインなどに利用できるエルダーフラワー。
丈夫で育てやすく、ガーデニング初心者でも挑戦しやすい植物です。
エルダーフラワーは手強い面もありますが、その美しさと実用性は魅力的ですよね。
上手に付き合うコツを掴めば、きっと素敵な庭づくりのパートナーになってくれるはずです。
エルダーフラワーと楽しい庭作りを初めてみませんか。