センダンは、その美しい花と香りから、庭木として人気があります。
しかし、センダンを庭に植えることは、思わぬトラブルを招く可能性があるのをご存知でしょうか?
センダンの特性や育て方を知らずに植えてしまうと、後悔することになりかねません。
一方で、センダンを上手に育てれば、素晴らしい庭木として楽しむことができます。
そこで本記事では、センダンを植えてはいけない理由をお伝えすると共に、うまく育てるコツやメリットについても解説します。
センダンを育てようと考えている方、特にガーデニング初心者の方は、ぜひ参考にしてください。
センダンについて正しい知識を持ち、適切な方法で育てることで、センダンのある素敵な庭を実現しましょう。
庭にセンダンを植えてはいけないのはなぜ?
縁起が悪い
センダンは、昔から不吉な運命と結びつけられてきました。
庭にセンダンを植えると、家の没落や病気の蔓延など、不幸をもたらすと言われています。
また、この木は墓場や死刑場でよく使われていたとか。
棺桶や杖の材料にもなっていたようですね。
古い時代の物語には、罪人の生首をセンダンにかけて晒したという記述もあります。
そんな歴史から、この木は長らく「不浄の木」と見なされてきました。
今でも、「センダンは縁起が悪いから」と敬遠する人が少なくないみたいです。
でも本当に不吉な木なのでしょうか?
木そのものに善悪はないはずです。
人間の心がセンダンに意味を与えているだけかもしれませんね。
現在ではそのような説は迷信として捉えられ、花も実も楽しめることからセンダンを庭に植える人も少なくありません。
大きくなりすぎる
センダンを庭に植えることには、もう一つ重要な懸念事項があります。
それは、この樹木が非常に大きく成長するという特性でを持つからです。
一般的に、センダンは10メートルから20メートルもの高さに達する大木へと育っていきます。
街路樹や公園の樹木として植えた場合、その堂々とした見た目には美しいかもしれませんね。
しかし、日本の一般家庭の庭の広さを考慮すると、このサイズの樹木を植えることは現実的ではありません。
成長したセンダンは、庭の限られたスペースを圧迫し、邪魔な存在になってしまう可能性が高いのです。
自宅の日照を遮るだけでなく、枝葉が隣家の敷地にまで及んでしまうかもしれません。
このような事態は、近隣との関係にも悪影響を及ぼしかねません。
大きく育ちすぎたセンダンによって、隣家の生活環境も損なわれてしまう恐れがあるのです。
したがって、センダンを自宅の庭に植えることは、長期的な視点から見ても賢明な選択とは言えません。
樹木の特性と庭の広さを慎重に見極めることが大切です。
実に毒がある
センダンの実には注意が必要です。
その理由は、実に含まれるある特定の成分にあります。
秋に実る黄色い果実には、サニポンという有害物質が含まれているのです。
その物質は、人や動物が摂取すると健康被害を引き起こす可能性があります。
多量に食べると、生命に関わる危険性もあるのです。
もしセンダンの実を口にしてしまった場合、体に様々な異変が現れる可能性があります。
嘔吐、腹痛、下痢、痙攣、麻痺など、重篤な症状を引き起こすこともあるのです。
また、ある一定量を超えて食べてしまうと命に関わる危険性があります。
小さな子供や犬や猫などの小型動物の場合、その致死量はわずかな数の実に相当するのです。
この事実を知ると、ペットや子供のいる環境ではセンダンを植えることに不安を抱くのは当然のことでしょう。
上記の危険性を考慮すると、小さいお子さんやペットを飼っているご家庭ではセンダンを植えるのは避けた方がいいかもしれませんね。
鳥害
センダンを庭に植栽することには、いくつかの注意点があります。
その中でも特に留意すべきなのが、鳥による被害の可能性です。
センダンの実は、私たちヒトや愛犬、さらには牛や馬といった家畜にとっては有毒ですが、鳥たちにとっては貴重な餌となるのです。
センダンの実を求めてやってくる代表的な鳥として、ムクドリ、ヒヨドリ、カラス、そしてツグミなどが挙げられます。
これらの鳥たちがセンダンの実をついばむ際、周囲の地面に実を落としたり、フンをしたりすることで、庭の環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、鳥たちの鳴き声が大きく、近隣への迷惑になることもあるでしょう。
センダンの実は非常に豊作になるため、大量の鳥が一度に訪れることがあります。
このような状況では、立派な「鳥害」になってしまうことも考えられるのです。
したがって、センダンを庭に植える際には、鳥害のリスクを十分に考慮し、適切な対策を講じることが重要です。
一度根付くと伐採が難しい
センダンを庭に植栽する際の注意点として、伐採・根絶の難しさが挙げられます。
一度センダンを植えてしまうと、その後の管理に多大な労力を要することになるのです。
センダンは非常に生命力が旺盛な植物であり、たとえ根本から切り取ったとしても、すぐに新しい芽が伸びてきてしまいます。
したがって、センダンを完全に根絶するためには、根から丁寧に引き抜く「抜根」という作業が必要不可欠となります。
しかし、抜根は非常に手間のかかる作業であり、素人が自分で行うには相当な労力を要します。
そのため、專門の業者に依頼せざるを得ない状況に陥ることもあるでしょう。
軽い気持ちでセンダンを植えてしまうと、後々大きな後悔を抱えることにもなりかねません。
センダンを庭に取り入れる際には、根絶の難しさを十分に理解し、慎重に検討することが肝要です。
センダンをうまく育てるポイント
鉢植えにする
センダンを庭に植えると大きくなりすぎる可能性がありますが、鉢植えにすることで適度なサイズに管理できます。
鉢のサイズに合わせて根を整理し、適切な大きさに維持しましょう。
また、鉢植えにすることで、日当たりや風通しを調整しやすくなります。
簡単に移動可能なので、環境に合わせて最適な場所に置くことができます。
水はけのよい用土を使い、乾燥と過湿に注意しながら水やりを行ってください。
定期的な剪定も忘れずに行い、美しい樹形を保ちましょう。
大きくなる品種を避ける
センダンには様々な品種がありますが、庭植えには大きくなりすぎる品種は避けましょう。
一才性品種の比較的コンパクトに育つ品種がおすすめです。
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これらの品種は樹高が低く、庭のスペースを圧迫しにくいです。
また、花つきもよく、観賞価値が高いという特徴があります。
品種選びの際は、成長サイズや特性をよく確認し、自分の庭に合ったものを選ぶようにしてください。
大きくなりすぎる品種を選ぶと、剪定などの手入れが大変になってしまいます。
鳥害対策
センダンの実は、ヒヨドリなどの鳥たちが好んで食べます。
そのため、実がなる時期は鳥害に悩まされることがあります。
鳥害対策として、ネットをかぶせることがおすすめです。
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果実が熟する前から、ネットを樹冠全体に被せましょう。
ネットの目合いは、鳥が入れないように十分に小さいものを選んでください。
また、ネットが枝に引っかからないように注意しながら、しっかりと固定します。
収穫が終わったら、ネットを外して保管しておきます。
こまめにネットを外して、樹冠を観察するようにしてください。
センダンを育てるメリット
丈夫で育てやすい
センダンは、比較的丈夫な木で、病害虫にも強いです。
適度な日当たりと水はけの良い土壌があれば、健康に育ちます。
剪定に強いので、お好みの高さや形に整えることも可能です。
成長が早いため、植えてから数年で立派な木に育ちます。
また、寒さにも強く、冬の寒い時期でも枯れることはありません。
初心者の方でも、センダンなら簡単に育てられるでしょう。
庭に常緑樹を植えたい方にはおすすめの樹種です。
可憐な花と香りを楽しめる
センダンは、初夏から夏にかけて、小さな白い花を咲かせます。
清楚で可憐な花は、葉の緑と美しいコントラストを作り出します。
花には甘い香りがあり、庭に漂う優雅な香りを楽しむことができます。
また、秋には実をつけ、黄色から赤褐色に色づく様子も見応えがあります。
一年を通して、センダンの美しい姿を眺められるのは魅力の一つです。
花と香りのある庭を作りたい方に、センダンはぴったりの木と言えるでしょう。
インドでは縁起が良い木
センダンは、インドでは邪気払いの木として知られています。
邪気を寄せ付けない力を持つと言われ、寺院の近くに植えられることが多いです。
日本の庭にセンダンを植えれば、インドの文化に触れるとともに、縁起の良い木を育てることができるでしょう。
なぜ学校にセンダンの木が植えられているの?
センダンの実には有毒な成分があるため、なぜ学校や街路樹として植えられているのか気になったことはありませんか?
実は、センダンの木が学校に植えられているのには、いくつかの理由があります。
まず、センダンは丈夫で育てやすい木なので、学校の庭に適しています。
病害虫にも強く、剪定にも耐えられるため、子供たちが安全に遊べる環境を作ることができます。
また、センダンは初夏から夏にかけて美しい白い花を咲かせ、甘い香りを放ちます。
この花の美しさと香りは、子供たちに自然の素晴らしさを感じてもらうのに役立ちます。
さらに、センダンの実は秋に黄色から赤褐色に色づき、季節の移り変わりを感じさせてくれます。
これは、子供たちが四季の変化を学ぶ良い機会となります。
このように、センダンは教育的な観点から見ても、学校の庭に適した木だと言えます。
子供たちが自然に親しみ、季節の移り変わりを感じられるよう、多くの学校や街路樹にセンダンが植えられているのです。
栴檀は双葉より芳しとはどんな意味?
「栴檀せんだんは二葉より芳かんばし」ということわざは、
将来の可能性を秘めた人物が、幼少期から才能を発揮することを表現しています。
しかし、このことわざには植物学的な問題が隠されているのをご存じでしょうか。
ことわざの初出は『平家物語』とされていますが、「栴檀」と「白檀」の区別や、その香りについて誤解が生じています。
日本の「栴檀」は「楝あふち」を指すとされ、『万葉集』や『枕草子』でも香りには言及されていません。
実際、多くの植物学者が「栴檀」の「二葉」に香りはないと指摘しています。
この諺で差しているのはインドの「栴檀」であり、日本の「栴檀」と混同してはならないのです。
まとめ
センダンは、美しい花と芳醇な香りが魅力的な庭木ですが、植える前によく検討する必要があります。
成長スピードが速く、大きくなり過ぎたり、強い匂いで周囲に迷惑をかけたりする可能性があるからです。
また、毒性があるため、子供やペットのいる家庭では注意が必要です。
しかし、センダンの特性を理解し、適切な場所に植え、定期的な剪定を行えば、その魅力を存分に楽しむことができます。
また、センダンは大気浄化や防虫効果もあるので、うまく活用すれば庭の環境改善にも役立ちます。
センダンを植える前に、そのメリットとデメリットをよく理解し、自分の庭に合っているかを見極めることが大切です。
適切な管理をすれば、センダンは長年にわたって、あなたの庭を美しく彩ってくれるでしょう。