秋になると街中で見かけるイチョウの木。
黄金色に輝く葉っぱが美しい反面、実の独特の強い臭いが気になりますよね。
あの臭いの正体は一体何なのでしょうか?また、臭いを抑える方法はあるのでしょうか?
イチョウは街路樹などによく使われる身近な存在ですが、臭いについてよく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、イチョウが臭う理由と、その臭いへの対処法について詳しく解説します。
イチョウの臭いの謎を解明し、上手に付き合っていくためのヒントをお伝えしたいと思います。
銀杏が臭いのはなぜ?
イチョウの実が強い臭いを発するのは、ヘプタン酸や酪酸などが原因です。
これらの物質は、イチョウの実が熟す過程で生成されます。
イチョウは雌雄異株で、臭いの強い実をつけるのは雌株のみ。
実は受粉後、果肉が熟して種子を包み込む形で成長します。
この果肉部分に、独特の臭いの元となる物質が蓄積されていきます。
果肉が熟し、種子が落下する頃になると、臭いがピークに達します。
この臭いは、動物によって種子が運ばれることを狙った生存戦略と考えられています。
また、イチョウの実は古くから食用とされてきましたが、生の実には毒性もあります。
この毒性も、動物による種子の拡散を助ける要因の一つと考えられています。
街路樹などで雌株のイチョウが植えられている場合、実が大量に落下し、強い臭いを放つことがあります。
この臭いへの対策としては、早めに実を取り除くことが有効です。
また、最近では臭いの少ないイチョウの品種の開発も進められています。
銀杏の臭いを例えると?
イチョウの実から発せられるあの強烈な臭いは、ヒトの足の臭いに例えられることがあります。
これは、両者に共通する成分が含まれているためです。
イチョウの実と足の臭いとは異なる成分も含まれますが、ヒトの皮脂に含まれる酪酸などの共通成分が存在するため、似たような臭いに感じられるのでしょう。
ただし、臭いの強さや質は個人差があります。
イチョウの臭いを不快に感じる人もいれば、独特の香りとして楽しむ人もいるでしょう。
足の臭いとの類似性を知ることで、イチョウの臭いの特徴をよりイメージしやすくなるかもしれませんね。
銀杏の臭いを消す方法はある?
靴や服に着いた臭いを消す場合
銀杏の強い臭いが靴に付着してしまった場合、中性洗剤と重曹を使って以下のようにするとその臭いを取り除くことができます。
まず、中性洗剤で靴底を洗います。
そして臭いのついた部分に重曹を振りかけ、2~3時間そのままにしておきます。
その後、重曹をはたいて、靴が入る程度の大きさのバケツに水を溜め、そこに重曹を溶かします。
靴をバケツに入れ、3時間ほど浸けておきます。
最後に、靴に付いた重曹を水でよく洗い流し、水気を切ってしっかりと乾燥させれば完了です。
銀杏の実を食べる前に消臭する場合
銀杏をおいしく食べるためには、食べる前に臭いを取り除く加工が必要です。
その方法は以下の通りです。
まず、拾った銀杏をバケツに入れ、4日ほど水に浸します。
外皮がふやけたら水から上げ、皮を取り除いて種だけにします。
次に、種を天日干しで3日程度乾燥させ、さらに室内の暖房器具などの前で乾燥を続けます。
種から水がしみ出なくなったら完成です。
このような加工を経ることで、銀杏は食べられる状態になります。
臭いを取るのには手間がかかりますが、調理した後は臭いが気にならなくなりますよ。
ニオイの気になる銀杏の実ですが、庭に植えてはいけない理由はこちら
>>>https://floracrafters.com/657.html
銀杏を踏むと臭いのはなぜ?
銀杏を踏むと強烈な臭いがするのは、銀杏の実に含まれる揮発性有機化合物が原因です。
銀杏の実を踏むと、果肉が潰れ、中に含まれる臭いの物質が一気に放出されます。
その結果、あの強烈な臭いが発生するのです。
この臭いは、銀杏の種子を運ぶ動物を引き寄せるための生存戦略だと考えられています。
動物が臭いに誘われて実を食べ、種子を運ぶことで、銀杏の繁殖が助けられるのです。
銀杏を踏んだ後は、靴底に臭いの物質が付着し、しばらくの間臭いが取れにくくなります。
銀杏の実を避けて歩くか、もし踏んでしまった場合は、前述のような靴のお手入れが必要です。
銀杏が臭い時期はいつからいつまで?
イチョウの木、特に雌株が発する強い臭いは、秋の果実の成熟期に集中して発生します。
具体的な時期は、地域や気象条件によって多少の差がありますが、概ね9月下旬から11月中旬頃までです。
10月頃がニオイのピークとなるでしょう。
この嫌な臭いが発生する理由は、イチョウの実の成熟プロセスと密接に関係しています。
イチョウの臭いは、秋の果実の成熟期に最も強くなり、その後、徐々に減少していきます。
臭いの強さや持続期間は、その年の気象条件や果実の量などによっても変化します。
一般的には、初冬までには臭いはほとんど感じられなくなるでしょう。
銀杏の臭いがわからない人もいる?
イチョウの臭いを感じられない、あるいは気にならない人がいるようです。
これには、いくつかの理由が考えられます。
嗅覚の個人差
臭いの感じ方には個人差があります。
同じ臭いでも、強く感じる人もいれば、あまり気にならない人もいます。
イチョウの臭いに敏感ではない人は、臭いを感じにくいのかもしれません。
臭いへの慣れ
イチョウの臭いに頻繁に接している人は、臭いに慣れてしまい、あまり気にならなくなることがあります。
雄株のイチョウだった
イチョウは雌雄異株で、臭いの強い実をつけるのは雌株のみです。
雄株は実をつけないため、臭いの原因となる物質が生成されません。
したがって、雄株の周辺では、イチョウ特有の臭いはほとんど感じられません。
若い雌株や実のつきが悪い年
たとえ雌株のイチョウでも、若い木や実のつきが悪い年は、臭いの原因物質の量が少なくなります。
そのため、臭いが弱く感じられることがあります。
ニオイが少ない品種
近年、臭いの少ないイチョウの品種が開発されています。
これらの品種では、臭いの原因物質の生成が抑えられているため、臭いが気にならないことがあります。
このように、イチョウの臭いを感じるかどうかは、個人の嗅覚の違いや、イチョウの性別、年齢、品種などの要因によって異なります。
イチョウの臭いが気にならない場合、これらの要因が関係している可能性があるでしょう。
まとめ
イチョウ実である銀杏の臭いは、日本の秋の風物詩ではありますが、あまりの強烈さに困惑する人も多いでしょう。
しかし、この臭いは、イチョウの生存戦略の一つであり、種子を運ぶ動物を引き寄せるために進化してきたのです。
私たちは、イチョウの生態を理解し、臭いとうまく付き合っていくことが大切です。
街路樹の管理では、雌株と雄株の適切な配置や、臭いの少ない品種の選択などの工夫が求められます。
また、個人レベルでは、臭いを軽減する方法を実践することで、イチョウとの共生を図ることができるでしょう。
イチョウは、長い歴史を持つ生命力あふれる樹種です。
その特性を理解し、上手に付き合っていくことで、秋の街並みを彩るイチョウの美しさを、より一層楽しめるようになるのではないでしょうか。