白地に青や紫の模様の花を咲かせるパンダスミレ。
小さくて控えめな見た目はとっても可憐で、グランドカバー向きな多年草です。
しかし、「庭にパンダスミレは植えてはいけない」と聞いたことはありませんか?
結論からお話しすると、パンダスミレは繁殖力が強くて庭で増えすぎてしまったり、害虫が寄ってくるため、お手入れが大変な植物なのです。
そのため、庭に地植えするにはパンダスミレの特徴をよく知っておく必要があります。
この記事では、庭にパンダスミレは植えない方がいいといわれる理由や、どうすれば上手く管理できるのかについて解説します。
庭にパンダスミレを植えてはいけない理由とは?
繫殖力の強さ
パンダスミレを植えるときには気をつけないといけないのは、とても早く増えてしまい、管理に困ることがあるということです。
パンダスミレは、別名ツタスミレ。ランナーという蔓を伸ばし、これが地面に触れると新しい株ができてしまいます。
その結果、一つのパンダスミレから多くの株が生まれて、あっという間に庭中に広がってしまうことがあります。
この植物は半日陰で育ちやすく、水やりもほとんど必要ありません。
そのため、他の植物よりも生き延びやすい環境を自然と作り出します。
さらに、パンダスミレは他の植物の成長を妨げることがあります。
地面を覆うように広がり、光を遮ってしまうため、他の植物が太陽の光を十分に受けられなくなります。
そうなると他の植物が光や栄養を得られず、成長が阻害されることがあります。
パンダスミレは雑草予防としては効果的ですが、様々な種類の植物と共存させたい場合には向いていません。
虫害
パンダスミレを育てる際のもう一つの問題は、害虫がつきやすいことです。
特にアブラムシやツマグロヒョウモンの蝶の幼虫が発生しやすく、これが問題です。
ツマグロヒョウモンはスミレ科の植物を特に好むため、その幼虫は葉や花を食べ尽くすことがあります。
この幼虫は黒い体にオレンジ色の線が入った、棘のような突起があるのが特徴です。
突起に毒はないものの毒があるように見えますし、とにかく気持ちが悪いですよね。
これらの幼虫が大量に発生すると、パンダスミレは大きなダメージを受けます。
害虫は4月から11月にかけて出現し、この期間中に何度も発生するため、長い間、注意深い管理と対策が必要です。
湿度や寒暖差に弱い
パンダスミレは高温多湿に弱いため、湿気の多い日本で育てるのはあまり向いていません。
この植物は元々オーストラリアの東部沿岸が原産で、日本の梅雨や夏の強い日差しのような環境では育ちにくいです。
雨が多くて湿度が高い場所や、直射日光が強い場所では、パンダスミレが枯れてしまうことがあります。
さらに、パンダスミレは霜にもとても弱いです。
耐寒性があると言われていますが、気温がマイナス3度以下になると枯れる可能性があります。
霜が降りるほど寒い地域では、冬を越すのが難しいかもしれません。
ただ、地上部が枯れても根が生きている場合、春には新しい芽が出ることもあります。
花が目立たない
パンダスミレをおすすめしない理由の一つは、「葉が目立ちすぎて花が小さい」ことです。
スミレ科に属し、タスマニアンビオラなどの名前からも花の美しさを期待して植える人が多いのですが、実際にはパンダスミレの花はとても小さく、葉が主に目立つためです。
「美しい花のグランドカバーを期待して植えたのに」と思ってがっかりすることもあるでしょう。
パンダスミレを上手く育てるポイントは?
むやみに増やさせない
パンダスミレを栽培する際には、植物が過度に広がるのを防ぐため、生育範囲をしっかりと管理することが大切です。
パンダスミレを単独で植えると少し物悲しく見栄えが良くありませんね。
複数株を植えてあげるとが少し華やかになりますが、他の植物の成長を妨げないように専用のスペースを設けるのがおすすめです。
レンガや石を使って花壇を明確に区切り、その中だけで成長させる方法が効果的です。
さらに、地植えではなくプランターや鉢植えにすると、管理するのが簡単になります。
また、パンダスミレはランナーを伸ばして広がる性質があるため、ランナーの管理にも注意が必要です。
地下茎や種での繁殖はしませんが、ランナーが伸びると広範囲に広がる可能性があります。
伸びたランナーは早めに剪定して増殖を防ぎましょう。
切ったランナーは地面に放置せずにしっかりと処理してくださいね。
これにより、新たな成長を防ぐことができます。
湿度・寒さ対策
パンダスミレを育てる際は、その環境適応に注意が必要です。
この植物は元々半日陰を好むため、夏の強い直射日光が長時間当たる場所は避けた方が良いです。
夏は日陰ができる場所に鉢をうつすか、寒冷紗などで日陰を作ってあげます。
湿気が多い梅雨の時期には、葉が蒸れないように枯れた葉を取り除き、風通しを良くすることが大切です。
冬には霜や雪が降る地域での栽培が難しいため、地植えより鉢植えがおすすめです。
鉢植えなら、寒い時期には室内に取り込んで保護することができます。
適切に環境を管理することで、パンダスミレを健康に育てることができます。
虫害対策
パンダスミレを害虫から守る方法として、ツマグロヒョウモンの幼虫対策が特に重要です。
この幼虫は毎年4月から11月にかけて何度も現れます。
この期間にツマグロヒョウモンの蝶を見かけた場合は、パンダスミレに卵が産み付けられているかもしれませんので、葉をよくチェックし、卵や幼虫がないか確認しましょう。
幼虫が見つかったら、ガーデニング手袋をはめて手を守って幼虫を取り除くことをおすすめします。
幼虫を見つけたら、手で直接つままず、割り箸を使いましょう。
害虫駆除スプレーの使用も一つの方法ですが、ツマグロヒョウモンの幼虫には毒がないものの、触ると痛い場合があるので注意が必要です。
また、防虫ネットを使って産卵を防ぐ方法も効果的ですが、広範囲をカバーするのは難しく、長期間の使用は景観に影響を与える可能性があるため、使用する場合は注意が必要です。
パンダスミレを育てるメリット
「パンダスミレを庭に植えてはいけない!」という人もいますが、パンダスミレはメリットも多い植物。
特に丈夫で育てやすいことと、何より花の可愛らしさが特徴です!
初心者にも育てやすい
パンダスミレはその強い繁殖力からもわかるように、とても丈夫な植物です。
日陰の場所に植えれば、水やりもほとんど必要ありませんし、勝手にどんどん増えていきます。
このような特性は、日当たりが悪い庭や、忙しくて植物の世話をする時間がない人、またはガーデニング初心者にとって、理想的なグランドカバー植物です。
パンダスミレは手間がかからない上に簡単に広がるので、ガーデニングを始めたばかりの人にも特におすすめですよ。
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病気にかかりにくい
上記の通り、パンダスミレを育てる上で害虫の問題はつきものです。
その一方で、パンダスミレは病気にはとても強いため、特に心配することはありません。
病気予防で農薬を使う必要がないのは、大きなメリットと言えるでしょう。
パンダスミレの花言葉
パンダスミレの花言葉は「温和」「可憐」「あなたを思ってやまない」という素敵な意味があります。
これらは、パンダスミレの愛らしい特徴を象徴しています。
また、パンダスミレが持つ白と紫の色は、風水においては大切な意味を持つことがあります。
特に紫色は、風水で「火」のエレメントに関連付けられ、強いエネルギーや良い運気を引き寄せるとされています。
そしてパンダスミレを観葉植物として育てる場合は、家の南側に置くのがおすすめです。
南は「陽」のエネルギーが強い方角で、社交性や人気運、知性や芸術力を向上させる効果があると言われています。
家に花を置くことが風水的にも良いとされているため、適切な置き場所を選ぶことが大切です。
まとめ
可愛らしい見た目でグランドカバーにもよく選ばれるパンダスミレ。
意外にもしぶとく、増えすぎてしまうという一面も。
ミントやドクダミなどと同じで、根っこをどんどん横に伸ばして増えてしまいます。
庭に植えてはいけない植物ではありませんが、手に負えなくなって後悔しないためにも、植える前にその特徴をよく知っておきましょう。