「勿忘草(ワスレナグサ)」と聞くと、その可憐な花を思い浮かべ、庭に植えたくなる方も多いでしょう。
しかし、実はこの植物、庭に植えてはいけないといわれることがあるのです。
勿忘草は土壌を選ばず、日陰でも育つ丈夫さを持つので、気づかないうちに庭を独占してしまうのです。
そこで今回は、そんな勿忘草を庭に植えない方が良い理由と、うまく育てるポイントについて詳しく解説していきます。
春から夏にかけて青い小花を咲かせる勿忘草ですが、急速に広がる侵略的な性質があり、一度庭に入り込むと駆除が難しくなります。
後悔する前に、ぜひ勿忘草の特性を知っておきましょう。
なぜ庭に勿忘草を植えてはいけないのか
繁殖力の強さ
勿忘草は、地下茎で簡単に増えるため、庭に植えるとあっという間に広がってしまいます。
一度根付くと、抜いても抜いても新しい芽が出てきて、庭中に広がってしまうのです。
特に日当たりと水はけの良い場所を好むので、庭の条件に合うと手に負えなくなるスピードも速くなります。
せっかく他の植物を植えても、勿忘草に占拠されてしまうかもしれません。
こぼれ種でも増殖
勿忘草は種からも増えるので厄介です。
可愛らしい青い花を咲かせた後、種をつけます。
その種が風に飛ばされたり、鳥に運ばれたりして、庭の隅々に広がってしまうのです。
こぼれ種から発芽した勿忘草は、気づかないうちに成長し、またたくまに庭を覆い尽くしてしまいます。
耐暑性が弱い
勿忘草は涼しい環境を好む植物です。
夏の暑さにはあまり強くありません。
そのため、高温多湿の日本の夏を乗り切るのは難しいでしょう。
暑さで枯れてしまっても、地下茎は生き残っているので、涼しくなると再び芽を出します。
枯れたり生え変わったりを繰り返すので、庭の見栄えも良くありません。
種が飛んで服に付く
勿忘草の種は、細かくて軽いため、風に乗って飛んでいきます。
その際、服に付いてしまうこともあるのです。
特に靴下や裾などに付きやすく、家の中に持ち込んでしまう可能性もあります。
屋内で種から発芽することは稀ですが、掃除が大変になるかもしれません。
花言葉が怖い?
勿忘草の花言葉は、「真実の愛」「忠誠」「強いつながり」など、ポジティブなものが多いのですが、一方で「私を忘れないで」というネガティブな意味もあります。
別れの悲しみを表すような、寂しいニュアンスも含まれているのです。
庭に植えると、そんな花言葉を思い出してしまうかもしれませんね。
以上、勿忘草を庭に植えるデメリットについて詳しく解説しました。
可愛らしい花に惹かれて植えてしまうと、後々大変なことになりかねません。
庭づくりの初心者の方は、特に注意が必要ですね。
庭で勿忘草を育てるメリット
春の訪れを彩る
勿忘草は、早春から初夏にかけて、愛らしい青い花を咲かせます。
まだ他の植物が眠っている時期から、庭を鮮やかに彩ってくれるのです。
日当たりの良い場所で育てれば、花の色もより濃く美しく咲きます。
植えっぱなしでも毎年花を咲かせてくれるので、庭の手入れが苦手な方でも楽しめます。
青い絨毯のように広がる勿忘草の姿は、春の訪れを感じさせてくれます。
耐寒性が強い
勿忘草は、寒さに強い植物です。
冬の間は地上部が枯れてしまいますが、地下茎は生きています。
寒い地域でも、冬を越して春に再び芽吹いてきます。
霜にも負けない強さを持っているので、庭の中でも寒い場所に植えるのに適しています。
初心者の方でも、冬の管理に失敗しにくいのが嬉しいポイントです。
病気に強い
勿忘草は、病気にかかりにくい丈夫な植物です。
ほとんど病気の心配がないので、初心者の方でも安心して育てられます。
うどんこ病や葉枯れ病などの心配もありません。
虫害も少ないので、殺虫剤を使う必要がほとんどないのも魅力です。
手間いらずで、健康に育ってくれる勿忘草は、忙しい方にもおすすめです。
以上、勿忘草を庭に植えるメリットについて詳しく解説しました。
管理が簡単で、美しい花を咲かせてくれる勿忘草は、初心者の方にもおすすめの植物です。
ただし、デメリットもあるので、植える場所は選びましょう。
上手に利用すれば、素敵な庭づくりができますよ。
勿忘草はグランドカバーに不向き?
強い繫殖力を持つ勿忘草ですが、地面を覆うグランドカバーとして優れた性質を持っています。
たくさんの花を咲かせながら、地面を青い葉で覆ってくれます。
雑草対策にもなるので、一石二鳥ですね。
日陰でも育つので、日当たりの悪い場所の植栽にも適しています。
育ちすぎて広がりすぎた時は、刈り込んでコントロールするとよいでしょう。
勿忘草をうまく育てるポイント
こぼれ種対策
勿忘草は、こぼれ種で増えるのが特徴です。
庭中に広がってほしくない場合は、花が終わったらすぐに花がらを取り除きましょう。
こまめな除去が、こぼれ種対策の基本です。
また、勿忘草の周りに別の植物を植えて囲むことで、こぼれ種が飛び散らないようにするのも効果的です。
きちんと管理すれば、思わぬ場所に広がるのを防げます。
水はけ・水もちに注意
勿忘草は、水はけの良い土を好みます。
水はけが悪いと根腐れを起こしてしまうので、排水性の良い用土を選ぶことが大切です。
一方で、水切れにも弱いので、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。
鉢植えの場合は、受け皿に水を溜めすぎないように注意が必要です。
庭植えなら、水はけを良くするために、植え付け前に土を深く耕すのがポイントです。
耐暑性のある品種を選ぶ
勿忘草は、夏の暑さにあまり強くありません。
日本の夏を乗り切るには、耐暑性のある品種を選ぶことが大切です。
「ミオソティス ミオマルク」など、暑さに強い品種があります。
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また、夏の間は日陰に移動させるなど、直射日光を避けるように管理しましょう。
虫害対策
勿忘草は、比較的病害虫に強い植物ですが、アブラムシが付きやすいのが悩みの種です。
葉の裏側を定期的にチェックして、早めに対策を始めることが大切です。
石鹸水やニームオイルなどで、こまめに葉を拭くのが効果的です。
初めてなら鉢植えで
勿忘草を初めて育てる場合は、庭植えではなく鉢植えから始めるのがおすすめです。
鉢植えなら、こぼれ種や広がりすぎを防ぎやすいので、管理がしやすいです。
慣れてきたら、庭の一部に植えてみましょう。
段階的に育てることで、勿忘草の特性を理解しながら、上手に付き合っていけます。
以上、勿忘草をうまく育てるポイントについて詳しく解説しました。
こぼれ種対策や水管理など、勿忘草ならではの注意点はありますが、コツをつかめば初心者の方でも楽しく育てられます。
ガーデニングが豊かになる素敵な植物ですので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
まとめ
勿忘草は、愛らしい青い花を咲かせる魅力的な植物ですが、庭に植えるには注意が必要です。
強い繁殖力とこぼれ種からの増殖で、あっという間に庭中に広がってしまうことがあります。
また、暑さに弱く、夏の間は枯れてしまうなどのデメリットもあるのです。
種が服に付いて家の中に入り込んだり、深い悲しみを表す怖い花言葉もあったりと、意外と扱いが難しい植物なのです。
お庭での植栽は慎重に検討し、管理に自信がない場合は、鉢植えから楽しむなど、別の方法を選ぶのが賢明かもしれませんね。