冬から春先にかけて可愛らしい花を咲かせる梅の木。
花が咲き実がならないもの、実をつけるものそれぞれ多数の種類があり、花の色も白、桃、紅色と多岐に渡ります。
菅原道真も愛したことで知られる梅ですが、実は庭に植えてはいけないとされる植物の中の一種です。
そこでこの記事では、なぜ庭に植えてはいけないのか詳しく解説します。
庭木や盆栽で楽しみたい方に向けて、うまく育てるポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
庭に梅の木を植えてはいけない理由とは?
虫害
庭に梅の木を植えてはいけないといわれる理由の一つが、害虫が発生しやすいことです。
特にアブラムシ、カイガラムシ、コスカシバなどが梅の木によくつくため、管理が難しくなります。
さらに大きな問題は、ドクガやイラガのような有毒な毛虫が発生することです。
このような毛虫に触れると、人に有害な反応を引き起こすことがあります。
中でもチャドクガの幼虫は特に危険で、その毒針が風に乗って飛ぶことがあり、皮膚に接触すると激しい痛みや皮膚炎を引き起こすことがあります。
そのため、梅の木の近くを通る人にとってもリスクがあります。
害虫の大量発生やその対策が困難であるため、梅の木の周辺での注意が必要です。
縁起が悪い?
梅の木は「松竹梅」という言葉にもあるように、通常は縁起の良い木とされています。
しかし、梅が果実をつけることから、「果実が落ちると縁起が悪い」という迷信があり、これが梅の木を植えない方が良いといわれる理由になることもあります。
さらに、木が成長すると大きくなり、害虫が発生することで家に損害を与えることもあります。
これらの理由で、一部では梅の木が不吉だと考えられることがあります。
ただ、現代ではこのような問題にもきちんと対処できるので、あまり心配する必要はないでしょう。
大きく育ちすぎる
梅の木を植える際に注意すべき点の一つは、成長が速く、あっという間に大きくなることです。
梅の木は、1年で30cmから60cmも枝が伸びることがあります。
適切に管理されていれば、梅の木の高さは3メートルから5メートル程度に収まりますが、手入れが不十分だと最大で10メートルまで成長することがあります。
このため、大きくなった梅の木の剪定には脚立が必要になることがあり、場合によっては専門の業者を呼ばなければならなくなります。
また、梅の木の根は地上部の成長に合わせて広がり、非常に強力です。
もし植えてはいけない場所、間違った場所に植えると、家の基礎や配管にダメージを与える可能性があります。
広がった根が他の植物の成長を妨げることもありますし、梅の木の大きさが庭の景観を大きく変える可能性もあります。
そのため、植える場所を選ぶ際には将来の成長を考慮し、長期的な計画を立てることが重要になります。
また梅の木は寿命が長い事でも知られ、その点も踏まえて慎重に選ぶ必要があります。
根っこが広がる
梅の木を庭に植える際の注意点の一つは、その根が非常に強く広がることです。
梅の木の根は地中深く伸び、周囲の植物や建造物に悪影響を及ぼすことがあります。
これにより、他の植物の成長を妨げたり、根同士が競争することも起こりえます。
庭の植物が調和して生育することは大切ですが、梅の木の強力な根がそのバランスを崩すことがあります。
そのため、梅の木を植える場合は、その根の拡がりを抑え、周囲の植物や構造に影響が出ないようにきちんと管理することが必要です。
これは、地植えの場合だけではありません。
鉢植えで育てる場合でも、根の伸びが容器の空間を制約し、土壌が早く劣化する原因になることがあるからです。
梅の木を植える際には、根の性質をよく理解し、適切な場所を選んで、定期的な根のケアを行うことが重要です。
こうすることで庭全体が調和し、美しい環境を維持することが可能になります。
管理が大変
梅の木はその美しさで知られていますが、そのお手入れは一苦労です。
梅の木は落葉樹であるため、秋にはたくさんの葉を落とします。
さらに、1月下旬から3月にかけては花が咲き、一部の品種では6月から7月にかけて実がなり、収穫の時期を迎えます。
これにより、一年中、葉、花、果実の掃除が必要になります。
また、梅の花はメジロやヒヨドリなどの野鳥を引き寄せるため、鳥害を引き起こすこともあります。
さらに、実が落ちた際の掃除も大変なのです。
梅の木には「生理落下」と呼ばれる現象があり、木が過剰な負担を避けるために自然に果実を落とします。
特に若い木や健康でない木は、多くの果実を落とすため、これが手入れの負担を増やします。
以上の点から見ても、梅の木の管理は時間と労力を要する作業であることを覚えておいてくださいね。
梅の木をうまく育てるポイント
病害虫対策を
梅の木を育てるうえで非常に重要なのが、病害虫の予防です。
人体に有害なドクガやイラガのような害虫を抑えることが重要です。
また、それだけでなく梅の木が害虫に食害されないようにすることも大切です。
害虫による食害は木が病気になる原因にもなりますから、剪定だけでなく、適切な薬剤を使用して梅の木を保護することが必要です。
さらに、梅の実が病気で損なわれないように、3月から5月の開花後の時期には、梅の木に発生しやすいかいよう病や黒星病などに対する薬剤の散布がおすすめです。
ただし、薬剤を散布する際は、近隣への影響を考慮し、他人に迷惑がかからないように慎重に行いましょう。
これらの管理をきちんと行うことで、梅の木を健康に育てることができますよ。
植える場所を選ぶ
梅の木を植える際には、選ぶ場所には特に注意が必要です。
梅の木は日光をたくさん受けられる、水はけの良い場所で健康に育ちます。
そのため、日中たっぷりと太陽の光が当たる南向きの場所が最適です。
また、良い風通しも梅の木にとって重要で、これにより病気の予防や花粉の散布が促され、木の健康が保たれます。
さらに、梅の木の成長を考慮し、将来的に枝や根がどれくらい広がるかを見越して、建物や他の植物から適切な距離を保つことが大切です。
塀の隣や通路、隣の家のすぐ近くなど、不適切な場所は避けましょう。
これにより、梅の木が健康的に美しく成長し、庭の景観も保たれます。
植える前には、土壌の状態を改善することも忘れないでください。
適切な水はけのある栄養豊富な土を用意することが、梅の木の成長にとって非常に重要です。
梅の木は美しい花や豊かな実をもたらしますが、その魅力を最大限に引き出すためには、選ぶ場所と土壌の管理に十分な配慮が求められます。
こまめな剪定
梅の木の健康を保つためには、こまめに剪定してあげることが非常に重要です。
梅の木は早く成長し、害虫が付きやすいため、定期的に剪定を行うことで健康な樹形を維持することができます。
梅の木の剪定は年に3回行います。
春には花後に新しい枝を育てるための剪定を行い、夏の7月から8月には次の年の花芽がつくための不要な枝を取り除きます。
そして、冬の休眠期間である11月から1月には、樹形を整えるための剪定を行います。
梅の木の剪定方法は、その品種や成長の状況によって異なりますので、それぞれの木に合わせた方法を適用することが大切です。
特に、梅の木が2年目から4年目にかけては、将来の樹形に影響を与える重要な時期です。
剪定作業に自信がない場合や、きれいな樹形を望む場合は、専門の業者に依頼するのも良いですね。
このように適切な剪定を行うことで、梅の木はより健康に成長し、美しい姿を保つことができます。
縁起が気になる場合
風水や縁起を気にする方にとって、梅の木を植える方角、花の色、本数は大切なポイントですよね。
方角と位置の選び方
梅の木は、特に南西、南、東南、東の方角に植えると良いとされています。
家の裏庭に植えると、特に家族運が向上すると言われますが、方角に関しては異なる意見も多いため、植える前にはさまざまな情報を参照すると良いでしょう。
花の色の選び方
梅の木は、赤、ピンク、白などの花色があります。
白やピンクの花色の梅を庭の北側に植えると、幸運を引き寄せる効果があるとされていますよ。
植える本数
一般的には梅の木を一本植えますが、三本一緒に植えることでさらに良い影響があるとされています。
もし庭のスペースに余裕ふぁあるのであれば、複数植えることを検討するのも良いでしょう。
ただし、これによって庭が梅林のようになる可能性があります。
これらのポイントに注意して梅の木を植えることで、風水や縁起を考慮した庭作りが可能です。
梅の木をコンパクトに育てたい時は?
庭の限られたスペースを最大限に活用し、他の植物とのバランスを整えるため、梅の木を小さく保つことが大切です。
ここでは、梅の木をコンパクトに育てるいくつかの方法を説明します。
梅の木は成長が早く大きくなりますが、定期的に剪定を行うことでサイズをコントロールし、形を整えることができます。
特に春や冬の剪定が効果的で、不要な枝を取り除くことで樹木のエネルギーを適切に分配し、美しい形を維持します。
また、「芯止め」という技術を用いると効果的です。
これは梅の木の中心部の主枝を残し、その他の枝を剪定して樹の大きさを抑える方法です。
梅の木を、地植えではなく鉢植えにするのも一つの選択肢です。
適切なサイズと良好な排水性を持つ鉢を選ぶことで、根の成長を制限し、樹木の全体的な大きさを小さく保つことができます。
これらの方法を駆使して、庭のスペースを効率的に使用し、全体の美観を保ちながら梅の木を美しく育てることが可能です。
まとめ
早春を告げる梅の木。
植えてから後悔しないためにも、管理が大変なこと、大きくなる可能性があることなど育てる上での注意点をしっかりと理解しておきましょう。
長い寿命を持ち、こちらが手間をかけてあげた分、美しい花を咲かせて答えてくれる梅の木。
庭にそれほどスペースがない場合は、鉢植えで育てたり、盆栽を選ぶのも素敵ですよ。
種類も多いので、ぜひお気に入りの品種を探してみてくださいね。